コラム:氷山の一角 シリーズ1
先日、『ヨコハマ・フットボール映画祭2018』にお邪魔し「CERCA LA TUA SALA SU JUVESTORY.IT」を拝見した。
「JUVENTUS」というクラブの歴史、「アニェッリ家」に代々受け継がれるビアンコネーロへの情熱と愛の歴史が詰まった作品に感じた。
なかでも故・ジャンニ・アニェッリの豪腕っぷり、そしてそのカリスマ性が現在のユベントスの礎を築いていることを教えてくれる。なかでもミシェル・プラティニ氏の入団エピソードは必見だ。
その影響力は、2003年にこの世を去っても及ぼしていることを映画は如実に示していた。
試行錯誤、深謀遠慮、捲土重来、臥薪嘗胆、どんな四字熟語も当てはまらないほど濃厚なユベントスの歴史の中でも「カルチョ・スキャンダル」は異色のハイライトだろう。
事件が発覚した2006年以降、「ユベントス=下劣な敵」という認識がイタリア国内に蔓延。2006/07シーズンセリエBでの映像が作品の中にも収められており、心が締め付けられるものとなっている。
極東の我が国でも「ユベントス=八百長」というレッテルが貼られるようになった。その悪印象は現在でも完全には拭いきれてはいない。「ユベントスが好きだ」といえば「八百長クラブね」と言われる記憶はユベンティーノならば、誰しもが持っている。
しかし、近年の無敗優勝から始まった前人未到のスクデット6連覇、コッパ・イタリア3連覇。そしてUEFAチャンピオンズリーグ(CL)では3シーズンで2回のファイナリストの功績もあり、その汚名は払拭されつつある。
Il Sole 24 Oreでは、「カルチョ・スキャンダル」はユベントスだけが悪なのか? と問われた場合、「ユベントスだけではない」と断言できるのは2006年の第二審判決で明らかになっている。
該当クラブはユベントス、ACミラン、フィオレンティーナ、ラツィオ。クラブ関係者は8名。FIGC(イタリアサッカー協会)関係者、AIA(イタリア審判協会)関係者、審判員は11名を数える。
カルチョ・スキャンダルはイタリアサッカー界の腐敗には変わりはない。
今回は2006/07シーズン、ユベントスがセリエB降格の憂き目に遭ったシーズン。セリエAに残留し、勝ち点マイナス8からスタート。ホームゲーム1試合を中立地で開催、罰金10万ユーロを支払っただけのミランについて触れたい。
映画でも触れられ、コアなユベンティーニならば存じているはずだが、「弁護士」と敬愛された故・ジャンニ・アニェッリは“ロッソネロ”を敵視、そして嫌悪した。80年代後期、シルヴィオ・ベルルスコーニはミランを買収すると湯水の如く大金を使い、各国のスーパースターを買い漁った。
節操のない買い物にも思えたが、この改革が大当たりする。故・チェーザレ・マルディーニ、ジョバンニ・トラパットーニらを要し、初の欧州制覇を成し遂げて以来3度目のビッグイヤー獲得。その後は連覇もなし遂げている。
日本にミランのファンこと“ミラニスタ”が多いのはこの時代の強さに起因している。たしかに強く、美しかった。当時のサッカー界の趨勢を作ったのは、紛れもなくミランだったのは認めざるを得ない。
国内では11年ぶりのスクデット獲得。その後のセリエA3連覇と故・ジョバンニが歯噛みしたシーンは映画でも触れられている。このビアンコネーロとロッソネロの熾烈な争いはカルチョ・スキャンダルが発覚する2006年まで苛烈を極めた。
カルチョ・スキャンダルが発覚したのは2006年5月だが、2004/05シーズンの審判選出に関して FIGCに圧力をかけることで始まった。ここからは“ミラン側”の記録を記したい。
コメント
この時受けた屈辱は忘れられない。
しかし、自分は『ユヴェントス』が
大好きだ。
一生涯、ユヴェンティーニとして
彼らを応援しつづけていく。
インテルの陰謀説は有名だしその後の人事を見ても疑わざる終えませんからね。
未だにユーヴェは灰色で降格、インテルは黒で時効は納得できませんね
ご拝読ありがとうございます!
次回作「シリーズ2」をお楽しみにして下さい。
宜しくお願い致します!