コラム:ユベントスを求め、ビアンコネーリのユニフォームに袖を通すジョカトーレ
著者:J-JOURNAL 編集部 山口 努
少ない予算で、ビアンコネーリをイタリアの盟主復活へ導いたのは、アンドレア・アニェッリ会長とジュゼッペ・マロッタの「手腕」といっても過言ではないだろう。
そのマロッタがジョカトーレを獲得するとき、大事にしていたのは移籍金や年俸ではなく「第一に詰めるのは選手の意志」と公言している。
どんなに能力があったとしても、「ユベントスでプレーしたい」という意志のないジョカトーレでなければ、獲得に動かなかったようだ。
少ない予算で優秀なジョカトーレを獲得し、スクデット9連覇という途方もない功績を残したイタリア人CEO(最高経営責任者)の名前は、今後もクラブ史に燦然(さんぜん)と輝くはずだ。
いつの時代も「ユベントスでプレーしたい」という選手が、数多くいるのは確かだ。
だが、そのなかでビアンコネーリのシャツに袖を通せるジョカトーレは“ひと握り”になるのが現実だろう。
クラウディオ・マルキージオ氏のように、プリマヴェーラ出身者がトップチームに昇格し、ビアンコネーリのユニフォームを着つづけられるのはほんの“ひとつまみ”になる。
FWクリスティアーノ・ロナウドを獲得してから、華麗なプレーが印象的なジョカトーレばかりの加入が増えたことに筆者は少し違和感を覚えた。
「クラブの戦略」と割り切り、納得してはいたものの「この選手は、本当にユベントスでプレーしたいのか?」といった印象を持った選手が多数いた。
今から2年ほど前に「ファビオ・パラーティチはチームの“イタリア化”を目指している」と多数メディアは報じた。
ちょうどその頃、ミラノのレストランで「パラーティチのメモ事件」が浮上している。
パラーティチがレストランに置き忘れたメモに「名前と価格」が記されていたことで、多数メディアは興味津々に伝えた。
メモにFWフェデリコ・キエーザ、DFクリスティアン・ロメロ、MFサンドロ・トナーリ、MFニコロ・ザニオーロの名前と評価額らしき数字が記され、物議を醸す。
そのうち半分を獲得し、選手として“大成”したことを考えるとパラーティチの“青眼(せいがん)”と手腕は認めざるを得ない。
ilbianconeroマウリツィオ・サッリ監督の解任が発表され、2020/21シーズン開幕前のメルカートでは2019年の夏同様に、豪華絢爛なジョカトーレの名前が羅列した。
メディアの主張ではあるものの、それらの選手たちに比べると“やや”地味な選手名があったことで個人的に気になった。