コラム:訪れた別れのとき
これまでのユベントスが「有能な選手でも金銭的なリスクを最大限考慮」としていた経営方針を「グローバルな面を加味し、クラブに有益な選手ならば大金を惜しまない」と転換した可能性がかなり高い。
たとえば、SBジョアン・カンセロの獲得が顕著だ。ビアンコネーロは昨夏、このポルトガル代表SBの獲得に動いた。しかし破談に終わり、結果としてインテルにゆずる形となった。
当時の価格は2500万〜3500万とも報じられたが、その真相は交渉にあたった者のみがしる事実だろう。
幸運にも、今夏ふたたびカンセロがメルカートに“出回る”選手となった。インテルが買い取りを躊躇(ちゅうちょ)したためだ。
ユベントスはこの好機を逃さなかった。ビアンコネーロと犬猿の仲ともされていたカンセロの代理人ジョルジュ・メンデスとの関係を修復させ、獲得を早急にまとめた。
最終的に、契約期間は2023年6月30日までの5年間、移籍金は4040万ユーロ。ユベントスは今後3年間の分割払いでバレンシアに支払うことが決まった。
この取り引きが思わぬ福音をもたらすことになる。このビアンコネーロの“新幹部”たちに「ユベントス嫌い」のメンデスが気を良くした、とされている。
そもそもメンデスがビアンコネーロを毛嫌いしていたのは、マロッタとパラティッチのコンビ以前のフロント陣である。
元凶はあの「3巨頭」か、その後のフロント陣なのか。当人は無論「公言」はしていない。
GOOL24.NETそしてサッカー界のアイコン、FWクリスティアーノ・ロナウドの電撃移籍を成功させた。
スペインメディアはエースの流出に「脱税疑惑に対し、レアル・マドリーは守らなかった」「リオネル・メッシ、ネイマールに対し、あまりに貧弱な年俸」など堰(せき)を切ったように報じた。
ユベントスは現在、この5度のバロンドーラーを丁重にもてなしている。世間をにぎわしている婦女暴行疑惑では、パラティッチが「全面的なサポート」を公言。
そしてレアル・マドリー時代の2100万ユーロだった年俸を大きく上回る3000万ユーロを提示し、納得させている。
FWリオネル・メッシの4000万、FWネイマールの3700万には及ばないものの33歳の年齢を考えた場合、妥当な金額といっていいだろう。
ユベントスは変わった。FWゴンサロ・イグアイン獲得以降、何かが崩れているのは確かである。
「安く買って、高く売る」というビアンコネーロの常套(じょうとう)手段は遠い過去のものとなっている。
現在は「安く買って、妥当な金額で売る」もしくは「貸し出す」といったところか。
世界の移籍市場が大きく変わったとはいえ、おおくのユベンティーニが昨今のメルカートには解せない気持ちでいることだろう。
カンセロの取り引きをみると、一目瞭然だろう。いささか乱暴な言い方を許してもらえるなら、カルチョへの適合を考えても「決断」が早ければ、1000万ユーロ近く“浮かす”ことができた。
つい「SBステファン・リヒトシュタイナーやMFクワドォー・アサモアの後継者として昨シーズンを戦えれば…」と、夢見てしまうユベンティーニも少なくないはずだ。
コメント
間違えていたらすみません。
ユヴェントス・スタジアムはアニェッリが会長に就任する前に起工していたと思うのですが、実質的にGOサインを出したのはアニェッリなのでしょうか?
ご拝読ありがとうございます!
厳密に申し上げますと、アニェッリ一家ですね。
「イタリア初」に強いこだわりがあったウンベルト、ジャンニの悲願とも云われております。
ですので、ユベントス・スタジアムのロビーには2人の名前が記されている、とのことです。
そうなのですね!
来月トリノに行くので見てきます!