コラム:CL史上4番目のチームを目指して
レアル・マドリーに加入した2009年から2018年までの9年間で奪ったゴール数をみると、1位がセビージャから27得点。2位がヘタフェからで23ゴール。
そして3位となるのがアトレティコの22ゴールだ。驚異的ではあるが、トップではない。しかし、ここにアシスト数「8」を加算すると30得点に関与し、トップになる。
まさに「アトレティコキラー」であり「お得意様」ということが如実に分かるデータだ。しかし、ユベントスの選手として迎えた初の対戦は不発に終わった。
ボールが渡るたびに痛烈なブーイングを浴びせられ、結果として挑発行為をしてしまった。
とはいえ、そのブーイングの内容は劣悪を極める。「クリスティアーノは終わった選手」などは可愛いものだ。
「く○○れ」「○ね」「売春婦の息子」「強姦野郎」などメディアで記されるのはここが限界だろう。
もっと酷いことを浴びせられただろうし、いくら百戦錬磨のバロンドーラーだとしても、度を超えたブーイングには正常なメンタルを保てなかった可能性が高い。
だからこそ、ブーイングを浴びせつづけたアトレティコのファンに対し「俺は5回CLを制覇している」を意味する5本の指をみせたのではないだろうか。
ミックスゾーンで質問を求められたクリスティアーノも、昨シーズンの終盤にみせた前途の表情だった。嫌悪感むき出しのそれである。
HotSports!だが、もう終わった話である。現地時間3月12日にアリアンツ・スタジアムで迎える2ndレグでアトレティコに最低でも2点差以上の得点差をつけて勝たなければならない。
戦前の予想は大方ユベントス勝利に傾いていた。賛否両論あれど、イタリアの“ご意見番”であるアリゴ・サッキは「シメオネ政権史上最悪」と“珍しく”ビアンコネーロを応援していた。
だが、ユベントス戦では“あの”アトレティコが復活していた。ハイプレスは飛ばし過ぎにも感じられたが90分トーンダウンすることなく、ユベントスを終始苦しめた。
ビアンコネーロがCL優勝候補筆頭の存在、クリスティアーノの存在。「ここで勝てば波に乗れる」とアトレティコ陣営が考えたとしても不思議ではない。
ユベントスは相手のミスにも助けられたが、ゴールを死守した。ターニングポイントとなったのは69分ではなかっただろうか。
FWアルバロ・モラタのヘディングシュートだ。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)により取り消されたが、このシーンがギリギリで保っていた集中の糸が切れてしまった印象が濃い。
もし、このVARがなければ先制弾の“アシスト”となったDFレオナルド・ボヌッチの転倒があったかどうか。
選手にとって「ファウルをとってもらえる」という印象が与えるものは、想像以上に大きいはずだ。踏ん張らなければならないときに踏ん張り切れなかった。