コラム:CL史上4番目のチームを目指して
サッカーの虜になった者ならば、贔屓(ひいき)の選手の笑顔をみて幸せな気分になった経験を必ずお持ちだろう。
アレッサンドロ・デル・ピエロ、クラウディオ・マルキージオ、ジャンルイジ・ブッフォンたちとの思い出は、ユベンティーニにとって忘れられないものとなっているはずだ。
勝利した瞬間、トロフィーを掲げた瞬間、そしてゴールした後の笑顔や悦びをみて幸せな気分になり、別れの瞬間はとてつもない虚無感に襲われた経験を誰もがお持ちではないだろうか。
レアル・マドリーのエースだったFWクリスティアーノ・ロナウドは昨シーズン、淋しそうにプレーしていた印象が濃い。
試合後、メディアに映し出されるその顔はどこか嫌気とともに怒りを感じさせた。
昨シーズンUEFAチャンピオンズリーグ(CL)で優勝しても、その表情は晴れず、試合後に退団をほのめかす発言を残したのは記憶に新しい。
ユベントスに加入したクリスティアーノは、ベテランの域に入りながらもかつてのサッカーへの情熱を取り戻したように、みずみずしいプレーでこれまでチームを牽引している。
思い出されるのは絶好調で迎えたCLグループステージ第1節バレンシアだ。29分、主審から不可解なレッドカードを提示されると、人目をはばからず涙を流した。
一般論になるかもしれないが、大人になれば悔しさだけでは涙は到底流さないものだろう。
しかし、そんなクリスティアーノの姿をみて「サッカーを愛する少年がそのまま大人になった選手」と感じた方も多かったのではないだろうか。
ABS-CBN Newsクリスティアーノにとってユベントスは、かつてのマンチェスター・ユナイテッド時代の、ポルトガル代表の、レアル・マドリー入団当初の真の笑顔を取り戻せた環境だったはずだ。
昨シーズンの、ひょっとしたら一昨シーズンからみせていた、どこか怒りに満ちながら、どこか淋しげな表情はユベントスでみせることはなかった。
ユベントスは先日、CLベスト16アトレティコ・マドリードに0-2で敗れた。贔屓目にみて「完敗」と記しても差し支えない内容だった。
アトレティコのファンはディエゴ・シメオネ到着以来、「戦う集団」としてエスタディオ・ワンダ・メトロポリターノにいる。
ユベントスの選手たちがその雰囲気にのまれたのは理解に苦しむものではない。エスタディオ・ビセンテ・カルデロン時代からそれは変わらない。
そしてビアンコネーロには“あの”クリスティアーノがいる。そのことも彼らをより熱くさせたのは、ほぼ間違いないだろう。
宿敵レアル・マドリーのエースはチームを変えても「憎き相手」なのに変わりはなかった。また、アトレティコにとってクリスティアーノはまさに天敵だ。
ユベントス同様に、いやそれ以上に幾多もの夢を打ち砕いてきた存在である。