JUVENTUS JOURNAL 4周年企画「実況者から見たユベントス」後編
――ユベンティーニの中でもイグアインに関しては賛否両論ありました。
「やはりそうなんですね。国内であれだけ点が取れて、CLでもそこそこ決める。
ただ、あのレアル・マドリー戦のような、本当に大事な試合になると…という印象は傍から見ていても感じていました。
クリスティアーノ・ロナウドを獲得して、イグアインをライバルのミランに売却するユベントスのフロント陣には感服しますね(笑)」
――永田さんから見てクリスティアーノ・ロナウド獲得はどのようなに映りますか。
「やっぱり抜け目ないですよね。相当前に、移籍は決まっていたはずですよね。
用意されたロゴを見ればなんとなく分かりますが、その噂すら表に出さなかったわけですから」
――一説には今年の1月、2月には、なんて話もあります。
「とにかくロゴが素敵すぎて、『いつから話ができてたんだよ』って笑っちゃいました。
今回の移籍をみても、ユベントスは良くも悪くも“変”に若手に寄らないですよね?
『若手を育てながら勝っていこう』という考え方に寄り過ぎない。
ディバラという素晴らしい若手がいますが、活躍すればするほど巨額のオファーも増えるでしょうし、そうなるといつまでユベントスにいるかも分からない。
そういう刹那(せつな)的な欧州のトップ・オブ・トップのサッカー界の現実を見据えながら動いている印象を受けますね。
歳がいっていても良い選手なら獲得していますよね。逆に(レオナルド)ボヌッチが戻ってきたのはどうなんですか?(笑)
僕はユベンティーニの感覚が分からないので(笑)」
――逆取材ですね(笑) 個人的な感想を述べさせて頂きますと「CL制覇」のためだけに思えます。
(マッティア)カルダーラをミランに売ることには賛否両論ありましたけど、じゃあ彼をユベントスに残すのとボヌッチを戻すのはどっちが現状の戦力アップに繋がるか、だと思っています。
フロント陣は後者をとった。それだけの話に思います。では世代交代は? という意見もあります。
クリスティアーノを獲得した現在、フロント陣は「CL制覇」しか見ていないと思います。
その後の相乗効果を見据えて、のことだとも思います。何より現在ユベントスにクリスティアーノがいることによって多くの選手たちが契約を延長したとも思っていますし、今後移籍を誘われたら「来たい」と思うはずです。
バロンドーラーと一緒に練習ができて、一緒に戦えるんですよ?(笑)
「たしかにそうですね」
――そう考えたらフロント陣は天才的だなぁと思っています。
あと今回、すごく感心したのが、文句を言ってユベントスを去っていった選手たちにクラブからのコメントを一切出さなかったことです。
ダニエウ・アウヴェスにしてもボヌッチにしても。「こういう展開になったときのことを考えてのことかな?」と、したたか過ぎて恐ろしくなりました。
「なるほど。たしかにそういうところは現実的ですよね。ロナウドの獲得がCL制覇を見据えてのものだとしたら、これ以上ない特大級の要素になりえますね。
国内だけの話でしたら、イグアインでも良かったはずですしね。CLを見据えたら、納得せざるを得ない補強になりますね」