JUVENTUS JOURNAL 4周年企画「実況者から見たユベントス」後編
前編では永田氏の実況者へとたどり着いた“道のり”を話して頂きました。後編ではユベントス戦の初実況、そして現在のユベントスがどのように映っているのかを訊きました。
Fulham Wiki – Fandom――僕自身「また負けるんでしょ?」と思って観戦してました。今では微塵も思いもしませんし、考えられません。
「フルハム戦の2ndレグはFW(ダビド)トレゼゲの得点で先制するんですけど、1点返されたら急にバタバタして、あれよあれよと逆転されてしまいました。
僕はどちらにも肩入れしているわけではなかったので、『ユベントスでもこんなことがあるんだ…』と思ったのを痛烈に覚えています」
――それに比べ、現在のユベントスの勢いはどう映りますか?
「『勢い』という表現は、なんだかしっくりこない気がします。7連覇ですから。
(アントニオ)コンテ、(ジュゼッペ)マロッタが来てから次の時代に入った気がしていますね。
個人的に四字熟語が好きで、中継にも取り入れるのですが現在のユベントスをみていると『質実剛健』な印象を受けます。
それまでも派手さはないけど、しっかりしている。ハードワーカーたちの中に、その時代のファンタジスタをうまくはめ込んで、しっかり結果を出していく。
それでいて(アレッサンドロ)デル・ピエロや(ジネディーヌ)ジダンに頼り切るわけでもないチーム作りをしている印象を受けますね。
とにかく、選手の見切りと補強がダントツに巧い印象も受けます。(ポール)ポグバの移籍だけをみると、サッカー史に残るものだとは感じますね」
Sky Sports――近年は売却に納得していないユベンティーニも少なくありません。
「そうだとしても、それまでの主力を何人も放出しながら、何人も補強して勝ってきていますよね。
大鉈(おおなた)を振るいながら、成績を落としていないのは驚異的に思えます。凄いスカウティング能力だと感じています」
――昨シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)のベストバウトは準々決勝のレアル・マドリー対ユベントスだという声が多数から挙がっています。永田さんのご意見をお聞かせください。
「2ndレグは(パウロ)ディバラなしの布陣で、終盤まで3-0で勝っていましたよね。
『審判が別の人なら勝っていた』なんて声もありましたが、ボクもそんな気がします。それにしてもすさまじい試合でした。
印象として残っているのは(マリオ)マンジュキッチですね。昔でいう(アレン)ボクシッチのような。無骨で、派手さはないけど戦える。
大事な試合で点を取れるFWですよね。(アルバロ)モラタもそうでしたよね。ここぞという場面で点を取ってくれるFWの印象が強いです。
ミランに移籍した(ゴンサロ)イグアインが、そういうタイプではなかった、という印象は受けます」