特集:堅固なユベントスを取り戻しつつある理由は? そして前半戦のベストプレイヤーは…
――お二人のご意見、真意としては同じことを話しているように思えます。つまり、合宿による“強化トレーニング”が決定打になったわけではないが、その過程が重要だった。
山口「そうですね!」
アスプロ「アッレグリも合宿中に選手と話し合ったりしたと言っていたので、役には立ったと思います」
「そして上位4チームとの差は、まさにここかなと。彼らは、もう何年も同じメンバーでプレーしているチームなので、お互いに良く知っているチームたちです」
「一方で、ユベントスは3年間で3回監督、フィロソフィー(哲学・方向性)を変え、練習方法も変え、さらにベテランを放出し、若返りを図った。なので、メンバー同士を知る時間が必要なのは当然だと思います」
――若手や新規加入選手に対しては、これまでジョルジョ・キエッリーニやレオナルド・ボヌッチ、ジャンルイジ・ブッフォンがすぐにメンタル面を含めフォローしていたように思えます。
その結果、入れ替わりが激しい年でもスクデットを連覇できていたのではないでしょうか。
山口「ですね。でもクリスティアーノ・ロナウドが入ってきたことで、何かが変わった可能性もあるのかな、と。先日のブッフォンのコメントもしかり。スターを特別扱いしなかったユベントスが特別扱いしたらこうなるんだな、と痛感させられました…」
アスプロ「たしかに、ロナウドの影響でチームが変わったとは思います。これまでにも色々な選手が、『ロナウドがいれば楽に勝てると思った』といったたぐいの発言をしていましたからね。ボヌッチとか。仮にも、キャプテンマークを巻いたリーダーがそういうことを言うって相当のことですよ」
――そこだけを切り取るのであれば、クリスティアーノの加入そのものが悪かったわけではなく、彼に甘えすぎた周りの選手たち、もしくはそういった空気を作ってしまったチーム全体の責任と言えますね。
宮城「それに加え、(ブレーズ・)マトゥイディや(サミ・)ケディラ、(ゴンサロ・)イグアインなど、ベテラン勢の放出も結果的に今の弱いメンタルを招いたことに繋がりそうですね」
アスプロ「やはり経験は大事です。でなければ、1つひとつのことを理解させるのに時間がかかりますし、臨機応変な対応ができない。この点に関しては、特に天才肌の(アンドレア・)ピルロなんて、かなり苦しんだんじゃないかと思います」
――本来のテーマから少しそれてしまいましたが、宮城さんは第12節から取り戻した堅固な守備の要因はどこにあると思いますか?
宮城「自分は2人とは違う角度での意見になりますが、アッレグリが序盤とは戦い方を少し変えましたよね。特に上位陣に対しては、主導権を握りにいくスタイルから堅守速攻に切り替えたように思います」
「ロナウドありきで進めていたゲームモデルが崩れ、一度作り直したことで構築に時間がかかったのかな、と。ボールをキープして時間を作れるタイプの選手が前線にいないので、そこが改善点だったはずです」
「ここ最近の数試合で結果が出てきたのは、守備をベースにチーム作りを進めてきて、ようやく形が定まってきたように感じます。きっと今季のユベントスはここからですよ!」