コラム:”来季こそは欧州制覇を”
2015-16シーズンが終わり、ユベントスが残した結果は、セリエA優勝、コッパ・イタリア優勝、スーペルコッパ・イタリア優勝、UEFAチャンピオンズ・リーグ(UCL)ベスト16である。
アッレグリが現イタリア代表監督のコンテからチームを引き継いで2シーズン目が終了したが、今では就任当初のように、アッレグリに対し否定的な横断幕をかかげるサポーターは皆無となった。特に多くの選手が入替わり、多くの負傷者を出した今シーズンを好成績で乗り越えた指揮官や選手達、フロントが素晴らしい仕事を遂げたことは言うまでもない。しかし、最近5年間で着実に前進してきたイタリア王者に対する期待は、年々大きくなり、”来季こそはCL制覇を”という声もあがってきている。
レアル・マドリードやバルセロナ、バイエルンという世界最大級のビッグクラブであっても、国内リーグとUCLの両方に集中することは難しく、経済面で大きく劣るクラブに負けることも当然ある。もちろん、それがフットボールの難しさであり、素晴らしさであるが、多くは”サイクル”に依存しているかもしれない。
一つのサイクルのピークには、様々な要素が考えられるが、より大きな要因となる”各選手の現在のクラブでのキャリア年数(以後、クラブでのキャリア年数)”と”年齢”に着目してみた。
ポジション | 選手名 | クラブでのキャリア年数 | 年齢 |
---|---|---|---|
GK | ブッフォン | 15 | 38 |
ネト | 1 | 26 | |
DF | キエッリーニ | 11 | 31 |
A・サンドロ | 1 | 25 | |
バルザーリ | 5 | 35 | |
ボヌッチ | 6 | 29 | |
ルガーニ | 1 | 21 | |
リヒトシュタイナー | 5 | 32 | |
エヴラ | 2 | 35 | |
Average(GK&DF) | 5 | 30.2 | |
MF | ケディラ | 1 | 29 |
マルキージオ | 9 | 30 | |
ポグバ | 4 | 23 | |
エルナネス | 1 | 31 | |
クアドラード | 1 | 28 | |
レミナ | 1 | 22 | |
パドイン | 4 | 32 | |
アサモア | 4 | 27 | |
ストゥラーロ | 1 | 23 | |
ペレイラ | 2 | 25 | |
Average(MF) | 3 | 27.0 | |
FW | ザザ | 1 | 24 |
モラタ | 2 | 23 | |
マンジュキッチ | 1 | 30 | |
ディバラ | 1 | 22 | |
Average(FW) | 1 | 24.8 |
*国内リーグで10試合以上出場している選手が対象(GKは第二まで)
上記の表から読み取れるように、守備陣のクラブでのキャリア年数と年齢が非常に高くなっており、ルガーニを除けば、大半の選手がキャリアのピークを終え、成熟しきっている。
ブッフォン、キエッリーニ、ボヌッチ、バルザーリの3バックの場合であれば、なんとクラブでの平均キャリア年数は9年、平均年齢は33歳。ブッフォンの異常すぎるほどのスキルとコンディションの維持能力は説明ができないが、少しでも若いうちに欧州制覇を目指したいだろう。それだけ”チャンスが限られている年齢”である。つまり守備陣の世代交代は間近に迫っているため、彼らにとっては来季あたりが”勝負のシーズン”と考えているはずだ。
中盤においては、ユベントスで4年間過ごし、ワールドクラスへと成長したポグバや、R・マドリーで数々の大舞台を経験したケディラなどをレギュラー陣で唯一の生え抜きであるマルキージオが支える。昨シーズンもそうであったが、欧州屈指の中盤であり、各選手の年齢を平均してみれば、今がピークだと言える。
前線に関しては、ディバラに注目が集まる。加入1年目にして大きな存在感を放ちながら、クラブが不調であったシーズン前半戦で自ら得点を重ね、チームを復調へと導いた1人だ。非常に強いメンタルを持ち、ビッグクラブを相手にしても闘争心を剥き出しにするなど、とても22歳とは思えない非凡さを発揮している。
そして、ユーベらしいメンタリティを持ち合わせているマンジュキッチ。チームのためにハードワークをする姿を見たエヴラも「あれほど低い位置まで戻り、チームのために守備をするFWを見たことがない」と驚きを隠せなかったほどだ。
FW陣を守備陣や中盤と比較すると、やはりキャリアや年齢は低くなってしまい、成熟しているとは言えないが、多くの国でのプレー経験を持つマンジュキッチや、十分過ぎる才能をもっているディバラ、そしてCL男のモラタは、来季欧州の舞台でも十分に活躍ができるスキルを持っている。
33歳であるDFダニエウ・アウベスをバルセロナから獲得したあたり、フロントも本気で欧州制覇を狙っていると感じ取れる。なぜなら、上記でも述べている通り、ユベントスの守備陣は、近いうちに世代交代を迎えることになるため、将来的なことを考えるのであれば、特に右SBは将来性のある選手を獲得するべきだからだ。それでも、数年後には前線を去ることが予想される、ワールドクラスのSBであるアウベスを獲得した理由は、やはり来季に欧州制覇を目指しているからだろう。
もし、本当にフロントがそのように考えていれば、ビッグクラブからターゲットとされているポグバやディバラを今夏に放出することは決してない。彼らは欧州制覇に向けて、必要不可欠の選手であり、彼らのスキルがビッグクラブ相手でも十分に通用することをここまでで証明している。それに、UCLで優勝すれば彼らの株価は更に上昇するだろう。いずれにしても、今夏の放出は適切なタイミングではないはずだ。
今夏のマーケットにおいて、フロントの課題はポグバとディバラの残留だが、もう一つの大きな課題が中盤の補強となる。ビッグイヤーを目指すのであれば、ローテーションは必須となるため、怪我をしがちなケディラとマルキージオの代役を任せられる中盤のスペシャリストが必要だ。
また、昨シーズンに抜けたピルロの穴を埋めることが出来なかったため、今夏はプレースキックを得意とする選手を獲得したいところだが、同時に予てからアッレグリが希望している”トレクアルティスタ(トップ下の選手)”も必要となるだろう。そして、その両方を務めることができ、セリエAでの実績も十分にあるMFミラレム・ピアニッチ(26)を先日獲得した。
この理想的な補強により、上記で挙げたポグバとディバラの放出を防ぐことができれば、UCL制覇に向けた非常に重要な課題はクリアしたと言える。
もちろん、選手の入替えが複雑な状況となっているFW陣の件も大きな課題ではあるが、少なくとも欧州最高の舞台に立っていた1年前よりも、チームはより力を付けているはずだ。
著者/Juventus Journal @JJ
コメント
レアル、モラタの買い取りOP行使したみたいですね。
モラタ、レアルから、プレミアの何処かに移籍?
問題はモラタの代役ですね。残るのがベストですが可能性は低そうですし。
あとはルガーニが来シーズン中にスタメン争いに食い込むくらい成長してほしいです。
genoaさん、いつもコメントありがとうございます!
確かにディバラは無さそうですね。本人も以前からユベントスへの移籍を希望していたようですし、クラブもそれなりの額で獲得しているので、簡単には出さないと信じています。
韋駄天さん、いつもコメントありがとうございます!
自分は随分前からライオラのコメントは気にしていません笑。おそらく彼は移籍金を釣り上げたい一心で、大袈裟な発言を繰り返しているのだと思います。もしかすると、ただオファーが届いただけで、交渉が始まったと言っているのかもしれませんしね笑。
ポグバの代理人のライオラが、レアルと移籍交渉
が、初期に入ったとか、ほざいてるけど
ユーロの活躍次第で、もっと移籍金が高騰するのに、
何考えてるかわからない。
レアルの監督げジダンだからだって。
ユベントスのマロッタの気持ちが知りたい
ポグバ、移籍したいなら、仕方ない。
ヴィツェルを獲得して欲しい。
ダニエウ・アウベスを取ったことで本気なんだとやはり思いましたね。
ポグバはともかく
ディバラは来たばかりなのだから放出はないでしょう。