コラム:5年前から始まったユベントスの復権
2010年5月19日
多くのユベンティーノに希望を与えた日だった。
それは、世界的に知名度が高く美しいクラブの会長にアニエッリが就任した日だった。クラブが再び欧州の舞台で光を浴びるようになるまで、アニエッリは多くの時間を必要としなかった。アニエッリが最初に行ったことは、スタジアムの建設と、元サンプドリアのGMジュゼッペ・マロッタの招聘だった。
それから5年後。ユベントスは凄まじい勢いで成長を遂げ”名門の復活”を世界に認めさせることになった。
4年連続でイタリア王者に君臨し、10度目のコッパ・イタリア制覇、そして欧州最高の舞台チャンピオンズ・リーグのファイナリストとなった。最強と言われているバルセロナ相手に素晴らしい試合を見せ、最後まで勝敗が分からない展開だった。敗戦したとはいえ、そんなクラブを誇らしく思うユベンティーノは数多くいることだろう。
これらの成績が”名門の復活”を示したことは言うまでもないが、経済的な面においても、実に大きな成果を挙げた。
『calcioefinanza.it』によると、ユベントスはチャンピオンズ・リーグから、同大会で優勝したバルセロナよりも、約3000万ユーロを上回る利益を得ている。リーガのチャンピオンは5740万ユーロを受け取ったが、イタリア王者は8690万ユーロを受け取っているのだ。また『Gazzetta dello Sport』は、ユベントスの2014-2015シーズンの利益が3億2000万ユーロになると報じている。これらの数字は、経営陣の働きを分かり易く示す、とても際立った素晴らしい数字だ。更にこれらの収益とは別に、2015-2016シーズンから、アディダスと6年間1億3950万ユーロのスポンサー契約を結んでいる。そして、Jeepとも年間最大で2000万ユーロのスポンサー契約を6年間再び結んだ。
スポンサーによる莫大な利益もあり、今夏マーケットにおいて、チーム強化用の資金作りのために、選手を売る必要が無くなった。そして、フロントは既にチームを更に強くするために動いている。7200万ユーロでパウロ・ディバラ、マリオ・マンジュキッチ、ロベルト・ペレイラ、そしてフリーでサミ・ケディラの獲得を既に確実なものとしている。マーケットが正式に始まる前から7000万ユーロ以上もの大金を使うことで組織の予算を圧迫させているかのようにも見えた。しかし、実質ユベントスがこの夏に支払う総額は、現時点で約4700万ユーロ程度に収まっている。その内訳が以下の通り。
選手名 | 今夏の支払い額(€) | 受取るクラブ |
---|---|---|
ディバラ | 800万 | パレルモ |
マンジュキッチ | 700万 | A・マドリー |
モラタ | 667万 | R・マドリー |
ペレイラ | 467万 | ウディネーゼ |
オグボンナ | 433万 | トリノ |
アサモア | 300万 | ウディネーゼ |
イスラ | 225万 | ウディネーゼ |
ガッビアディーニ | 183万 | サンプドリア |
ガッビアディーニ | 183万 | アタランタ |
ストゥラーロ | 183万 | ジェノア |
ベラルディ | 180万 | サッスオーロ |
エブラ | 150万 | マンチェスター・U |
ザザ | 87.5万 | サンプドリア |
ルガーニ | 87.5万 | エンポリ |
パスクアート | 75万 | ウディネーゼ |
合計 4721万€ |
この4721万ユーロという額であれば、イタリア王者がこの先のマーケットで、まだビッグネームを狙うのが可能であると推測できる。実際に『Sky Italia』によると、ユベントスはトップ下の獲得を目指しているという。最近の報道でも挙げられている名前となるが、レアル・マドリードのイスコと、チェルシーのオスカルがリスト最上位のターゲットだ。ジャンルカ・ディ・マルツィオ氏も自身のwebサイト上でそのような見解を述べており、アッレグリも選手に対する関心は認めている。もちろん、本格的に獲得に迫るかは、ピルロなど所属選手の去就問題も関わってくることは否定できない。
実際4000万ユーロでトップ下の選手を獲得したとしても、4年間の分割払いなら今夏の支払いは1000万ユーロ追加となり、合計5721万ユーロとなる。1シーズンで3億2000万ユーロもの利益を上げたクラブなら、決して手の届かない額ではない。当然、放出する選手も出てくるため、それによる利益や選手の給与面も考慮する必要があるだろう。それでも2014-2015シーズンに得た利益で、これまでの補強に加えトップ下のビッグネームを獲得することは十分可能だと言えるだろう。
全てはアニエッリが就任した5年前から始まり、目標であった”名門の復活”を遂げたことにより、これ程マーケットを楽しくさせているのだ。
参考 / CAN JUVENTUS REALLY AFFORD AN ESTABLISHED WORLD CLASS PLAYMAKER?(juvefc.com)
訳 / Juventus Journal filosofivo
コメント
分割払いが通じるのはユーベが信用のあるクラブだからなのかな
これはありがたい記事!
非常に解り易い良い記事ですね。確かに現在の収支だと、トップ下の大物狙える期待が持てます。SBも補強ポイントだと思う。あと、ピルロやビダルの退団が噂されてるんで、移籍金でヴィツェル狙えないかなと期待。
素敵な記事、ありがとうです。いかにも堅実経営のユーベらしいやり方ですね。トップ下に関してちょっと希望が出てきた感じ。
数字で見せられると、トップ下、もしかしてホントにとれちゃう!?って思っちゃいますね
いい記事を、Grazie!