「実況者から見たユベントス」番外編
――サッリはこれまでエンポリ、ナポリ、チェルシーと率いてきて、『本当にやりたかった形』が現在のユベントスで出来ている、と僕は感じているのですが野村さんはいかがでしょうか。
「サッリも『大人になったんだ』と感じています。ポゼッションを高める『サッリボール』を最初からやると、歪みが生じてしまうことは、チェルシーで痛感しているはずなんですよね」
あの(ジョゼ)モウリーニョもスタイルを変えていますし、過去のやり方を踏襲していないところを見ると、サッリも柔軟に考え方を変化させたとしても不思議ではないですよね」
――チェルシーは昨シーズン序盤、好調でしたがその後調子を落とし、終盤盛り返したイメージがあります。ユベントスでも同じことが起こりうるでしょうか。
「昨シーズンのチェルシーは、ジョルジーニョに固執したのが原因かなと感じます。研究されていましたし、柔軟性がなかった印象は否めないですね。
現在のユベントスは選手交代もしっかりしていますし、個人的にはサッリがやりたいサッカーの2割3割くらいしか出せていないのでは? とも感じますね。
ですので、昨シーズンのチェルシーのようにはならないと感じます。選手もうまく回せていますし、純粋にサッリがプレミアリーグに合っていなかったとも思います」
――それでもUEFAヨーロッパリーグ(EL)を制覇しましたね。その辺りはどのように解釈されていますか。
プレミアリーグよりもヨーロッパでの戦いのほうが合っている、(ラファエル)ベニテスみたいな監督なのかな、とは感じていました。
欧州のサッカーとプレミアリーグのサッカーは完全に別物なのですよね」
――プレミアリーグの実況もされている野村さんに、是非聞きたかった質問があります。FWモイーズ・キーンについてはどのように感じられますか。
「実は、彼の素行の良し悪しは知らなかったんですよね。『なぜ、ユベントスは出したんだろう』と不思議に思っていました。
ですが、『ユベントスが切った』というのはそういうことなんだろうな、と思っていました」
――「そういうこと」とは。