「実況者から見たユベントス」番外編
マウリツィオ・サッリに率いられたビアンコネーリは今シーズン、公式戦わずか1敗のみと好調を維持している。
野村明弘氏は今シーズンのユベントス戦ではセリエA3試合、UEFAチャンピオンズリーグ（CL）では全試合実況を担当しています。
実況者として、「サッリ・ユベントス」をどのようにみているのか、その印象を訊きました。
【野村 明弘】
実況者。株式会社フットメディア所属
大学卒業後、長崎文化放送株式会社に入社。2003年に単身渡英。プレミアリーグを肌で感じる生活を送り、2005年に帰国。
帰国後、現職に至る。現在、国内外問わず数多くの実況を担当している。
――サッリに率いられたユベントスは、今シーズン好調を維持しています。野村さんはどのような印象を抱いておりますか。
「私を『含め』なんですが、『サッリはこういう監督』という固定概念を強く持っていたように感じます。解説の方々も同じようなことを仰っていますね。
チェルシーでは4-3-3を固定していたのですが、ユベントスでは4-3-1-2を採用しています。
WGドウグラス・コスタが常に起用できる状態であれば、4-3-3で戦っていたと思うのですが、そうはいかなかった。だからこそ、現在の4-3-1-2があるように感じます。
また、サッリは自分の型に“ハメたい”監督だとも思っていました。だからこそ『ターンオーバーしない監督』というレッテルが貼られたのかなと感じます。
ユベントスでの選手起用、交代などを見ているとサッリはある種で大人になったのかもしれませんね。
システムも選手の個性を生かした柔軟な発想ですし、彼が4-3-1-2をやるとは思いませんでした。
ひょっとすると、ロナウドに気を遣ったための産物なのかもしれませんが…（笑）」
――チェルシー時代は4-3-1-2のシステムで戦ったことはなかったんですか？
「なかったですね。ワンアンカーのMFジョルジーニョを頑なに崩しませんでしたし、シーズン終盤には2枚にしたときもありましたが、基本ワンアンカーでした」
「（エデン）アザールがゼロトップで起用されたことはありましたが、本人が嫌がったこともあって、長続きはしなかったですね（笑）」
――なるほど（笑）。
「チェルシー時代はトップ下を置くことはなかったですし、2トップもほとんどやらなかったですね。
ユベントスでは、『絶対にしない』と思われていたターンオーバーをし、チームの一人ひとりが気持ちよくプレーさせている印象を受けますね」
