J-JOURNAL 5周年企画「実況者から見たユベントス」後編
――昨シーズン、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)ベスト8アヤックス戦の実況を担当されました。どのような印象を受けましたでしょうか?
ユベントスって昔から流れが悪くても勝てるチームだとは思うんですよね。それにあの試合の前のアトレティコ(マドリード)戦もそうでしたが、3試合連続でロナウドが得点を挙げているじゃないですか。
普通でいったら勝つパターンなんですよ。先制したら。あそこで勝って、上がっていくクラブだと僕は思っていました。
ギリギリ勝つのがユベントスの強さだと思うんですけど、あのアヤックス戦ではどんなゲームでも「絶対に勝つ!」みたいなユベントスというよりも、アヤックスの勢いや監督の戦術の浸透度合いのほうが勝っていたのかなと感じました。
彼らはみんな若くてモチベーションがあるというか、これからビッグクラブに行きたいという欲などもあるので。
――ベスト16ではレアル・マドリーにも勝っていましたしね。
そういう意味では、そういった部分のいいところみたいなものが全部出てしまって、それを上回るくらいの、本来のユベントスらしさみたいなものがちょっと出てなかったように僕はあの2試合では思いました。
本来なら先制したら、ユベントスは勝ち切るイメージがあります。
――昨シーズンはCL FINALも担当されましたね。今後もリバプールの時代はつづくのでしょうか?
今シーズンはいいと思います。ただ、やっぱりみんな人間なので“飽き”というか、変化がないとどうしてもチームとしては難しい。
そういう意味でいうと、今年はたしかにメンバーが揃っているので新しい選手をとらなくてもいいかもしれないですけど、やっぱりもう少し新しい血を入れておかなかったっていうのは来シーズン、再来シーズンを考えるとキツいかもしれませんね。
まぁ、プレミアを獲っていないというすごい大きなモチベーションがあるので今シーズンはいけると思います。
ただ欧州を席巻するかというと、クロップはサッカーが結構決まっているので、新しい血を入れて競争を激しくさせるとか、選手たちのモチベーションを上げるとか。そういったことをしていかないといけないのかもしれませんね。
やっていることは素晴らしいのだけれども、そういうサッカー外のところで綻びが出てしまうのではないかと僕は危惧しています。
これは個人的な見解になるのですが、「リバプールに勝って欲しかった」といった印象を受けました。
――昨シーズンのCL FINALでの(モハメド)サラーの負傷も関係あるのでしょうか?
それもありますが、リバプールほどの名門がプレミアリーグ発足(1992年〜)から一度もリーグを制していないじゃないですか。
その間にたくさんの新興クラブが優勝を果たしましたよね? レスターとか。チェルシーとか(笑)
リバプールが優勝してないのは、おかしいんですよ。「勝たせてあげたい」。そういう空気があったように感じます。
私もチェルシーが優勝できないのならば、是非、リバプールにと思ったほどです。
コメント
日本のフットボールファンの中でユベンティーニやセリエAのファンを中心に戦術を議論する場が増えると良いですね。
個人的にも戦術の理解を更に深めて、より楽しく観戦できる様になりたいと思います。