コラム:ユベントスに求められる非情な決断
メルカートとは、一喜一憂するものである。「火のないところに煙は立たない」といわれるが「火のないところに“無理やり”煙を起こす」といい換えることもできるだろう。
真実は交渉を進める両クラブの首脳陣や選手だけがしる事柄であり、メディアはさも事実のように書き立てる。
現在は世界中のメディアが自社のSNSを使い、スクープを狙いつづけるのが現状だろう。ファンはといえば、そのニュースに一喜一憂する。
当初は根拠のなかった報道も、輪郭を帯び事実として世に出ることは他ならぬユベンティーニが実感しているはずだ。
FWクリスティアーノ・ロナウド、DFマタイス・デ・リフトの加入をいったい、誰が予想できたか。
いわゆる「ネット社会」が普及していなかった頃は、ある程度まとまった情報を雑誌などで読むことができた。
それはそれで良い時代だったように思う。毎日、一喜一憂することもなかったし、事実として目に飛び込んでくる愉しみがあった。
それが良いことなのか悪いことなのかは別として、筆者はメルカートのセオリーをある男から“学んだ”つもりでいる。
現在ではクラブの歴史において良くも悪くも「伝説」とされているルチアーノ・モッジだ。
Il Tempoここのコラムに幾度となく登場させているイタリア人だが、筆者はこの男ほどのGM(ゼネラルマネージャー)はもう二度と現れないのではないか、そんな気すらしている。
モッジの記事にはある種の爽快感があった。翻訳に多少のニュアンスを加えたとしても、まず言葉使いが笑えるほど乱暴だった。
ジネディーヌ・ジダンの獲得から放出。パベル・ネドベドの強奪。在任中、生意気な選手がいれば放出。退団を渋れば“脅す”。なんでもござれだ。
しかし、ユベントスというクラブを心から愛していたのは間違いない。この不出世の豪腕GMはメディアを巧みに使い、ライバルクラブを揺さぶった。
これはモッジだけがやった手法ではなく、現在でも各クラブのメルカートの常套手段となっている。
平たくいえば、欲しくもない選手の情報をメディアに流し、揺さぶりをかける。ビッグクラブともなればその裏で本交渉にあたる。
たとえば今夏、イタリア王者にジョゼップ・グアルディオラの招へいが囁かれた。荒唐無稽だったが、まったくのデタラメに聞こえなかったのが現在のユベントスではないだろうか。
ビアンコネーロの新監督に就任したマウリツィオ・サッリは当初、候補としての順位は低いものだったはずだ。
コメント
山口さんのコラムはいつも拝読しています。貴重な情報や自身の見識を示していただきありがたく思っています。
ベテラン選手の放出は難しいですね。極論すれば、契約期間中は飼い殺しでも構わないから残る、と言われればそれまでですし。
19-20シーズンは監督交代の影響がかなり残るような気がします。マンマーキングを併用したアッレグリとは異なるサッリ流ゾーナルディフェンスとプレッシグシステムの構築が上手くいくかどうか、、、 そこにかかっているのではないでしょうか。
お時間があれば山口さんのご見識を投稿いただければ幸いです。
いいコラムですね。モッジ好きだったなあ。
ある意味、マドリーとかと同じ悩みを持てるような格になってきたということでしょうね。役にも立たず、売れもしない中途半端な補強してたセッコの暗黒時代を考えると、それ自体が大勝利だと思う。贅沢な悩みというか。
放出下手については、過渡期だから仕方ないかなあ。マロッタやモッジは素晴らしかったけど、当時のトップ選手を獲得できたわけではなかったし、どっちかというと、大成前の選手を売る側のクラブだったから。ジダン然り、ポグバ然り。SSではなく、Sランクのクラブだった。
クラブ方針が変わったがゆえに、ひずみが出てると捉えたい。
レアルバルサユナイテッドパリ等と規模で並ぶことが今の目標でしょうからね。
新しい有望な選手がどんどん入ってくるものの、売却候補の選手も市場価値が上がってる等でなかなか売り抜けできない。
今季売却もまあ上手くやってるのはバルサくらいでしょうか。
有望株を勝ち取るには買い取り先行で動かざるを得なく、売却で足元を見られますからね。
まあ贅沢な悩みです。
確か、守護神ペルッツィをインテルに売った時、間髪入れずにファンデルサールの獲得を発表しましたよね?コラムのように今ほど情報がなく、オフィシャル発表までそわそわしました。
なんでライバルに売ってんの?と思いましたが、裏ではファンデルサールを獲得した上で、インテルにイタリア代表守護神の売却を吹っかけてたと言う記事を見ました。
モッジは本当上手ですね。
イブラの時も確かバレないようにホテルに押し込んでましたっけ?
開幕戦はパッとしませんでしたが…
前人未到の9連覇とビッグイヤーを信じて今年も応援しましょう!!
なに言ってんの?
今のフロントははっきり言って、めちゃくちゃ下手くそだよ
山口さんは少なくともあなたよりユベントスのことを分かってらっしゃいますよ。
そうすぐ批判したくなる気持ちもわかりますが、こういう場ではちゃんと物事を考えてからコメントしたらどうですか
今のフロントと言ってますが今のインテルのフロントの選手売却はもっと酷いです
ご拝読ありがとうございます。
擁護して頂き、ありがとうございます!
とても嬉しいです。
しかしながら、物事の意見は人それぞれな認識でおります。
一つの「御意見」として受け止める所存です。
「御意見」を加味し、読者により良い読み物を提供していきたいと思います。
今後とも何卒宜しくお願いいたします。
Bに落とされた時を考えればパラティチに対する批判はものスゴく贅沢になったと感じます。
よく放出が下手と言われていますが、ちゃんと放出が出来てるからロナウドやデ・リフトを獲れたわけですし。
そもそも放出が上手いビッグクラブなんてありませんもん
モッジのコラムですよね?
いいコラムですね。
僕も当時は雑誌のcàlcioを定期購読してたのしみに読んでました。
今でもたまに掘り返しては見て楽しんでます。
私はモッジ 大好きです 笑
あの言葉遣い、態度、あの頃は平気でスタジアムでタバコを吸う姿。
懐かしいく、何処か憎めないそんな人でした。
今のcàlcioにはあの頃のような、何処か憎めない名物かいちょうや選手、フロント、も少なくなりましたね〜
現CFOも、あと一つ覚醒し、先人のようにメルカートを仕切れる伝説の仕掛人になって欲しいです。確かに、モッジ元GMや元ミランのガッリアーニGMは、清濁併せ持つ(あまり清の印象はありませんが)凄腕でしたね。クラブより大きな存在は無いという共通の理念もあったように感じますが。ユーベの強化のためクラブの舵取りよろしくお願いします。