コラム:ユベントスが取り戻しつつあるプライド
そしてユベントスは今シーズンのセリエAで19試合を戦い、わずか「11」失点のみに留まっている。この背番号「17」は得点を決めるだけではなく、ときに最後尾まで守備に戻り、リーグの最少失点に貢献しているのは明らかだ。
ビアンコネーロの永遠のバンディエラ・デル・ピエロ氏も先日、過去と現在のトリデンテを比較し、「多くの類似点がある」と認め、自身の役割を「ディバラが担う」としている。
ともかくも迎える2019年は「6月1日」まで、現在のユベントスのトリデンテが怪我なく欧州を席巻する活躍を期待したい。
気になるDF陣だが、直近2試合では失点の多さが気になるところだろう。だが、どちらの試合も主力をターンオーバーしている中でのものだ。
それでも国内無敗を貫いているのは、評価に値するのではないだろうか。
アッレグリは以前、「リーグ戦はマラソンのようなもの」と語っている。個人的には100m走に例えたい。金メダルを目指しているランナーが、予選からエンジン全開では走らない。
雌雄を決するときに、全力で走るために調整しながら、その瞬間を待つのがセオリーとされている。そうでなくともアッレグリの戦術は難解を極める。
手の内を明かすことなく、これまで勝利してきた過去をみると今シーズンはどのような展開でCLベスト16アトレティコ・マドリーに挑むのか。興味は尽きない。
FourFourTwo思い返せば、昨シーズンのCLベスト8でレアル・マドリーとサンチャゴ・ベルナベウで対戦したとき、アッレグリは交代カードを2枚残し、試合を終えた。
「もし」はスポーツの世界において禁句だが、PKになった攻撃さえ抑えていれば、結果は変わっていた可能性は否定できない。
しかし、終わった話だ。功労者たちはさまざまな理由でユベントスを去り、今シーズンもクラブ史上初の「三冠」を目指す。
病魔と戦っているヴィアリ氏には“後輩”たちがビッグイヤーを掲げる姿をみてもらいたいし、後ろ髪をひかれながらビアンコネーロを去っていた功労者たちにとってそれは最大の餞(はなむけ)になるはずだ。
今日、我々が目にしている12月31日の太陽が沈めば、ユベントス史上屈指の激動を極めた2018年に幕が下りる。
明日、1月1日に昇る太陽は2019年の夜明けとなる。
ユベントスを信じて流す涙は1996年以降、流しつづけている悔し涙か。捲土重来(けんどちょうらい)の嬉し涙か。
ビアンコネーロが失い、取り戻したプライドは国内のみのものである。
そして2018/19シーズン、欧州でのプライドを取り戻せることを先人たちも期待しているはずだ。
CLにおいて、「シルバーコレクター」と揶揄されるユベントスの逆襲を、来たる2019年、おおくのユベンティーニが夢見ているはずだ。
著者:J-Journal 編集部 山口 努