コラム:さらなる高みを目指して。ヴォイチェフ・シュチェスニーの決意
森林伐採を終えて、立派に育った成木の切り株や根元からは蘖(ひこばえ)と呼ばれる新たな命が芽吹く。それはやがて成長し、より逞ましい樹木となる。
偉大な先人たちが築いた歴史あるクラブ、ユベントス。
この白と黒で染められた樹々の群れは、そのひとつひとつが立派な大樹として生涯を全うした後、次の世代へとバトンを渡し、新たな芽が育つための環境を作り上げていく。
昨季終了後、ジャンルイジ・ブッフォンやクラウディオ・マルキージオら、ビアンコネーロを象徴するジョカトーレがクラブを去っていった。
彼らは一人の選手として、そして一人の人間として模範的な態度を示し、“Fino alla fine”の精神を次世代へと伝える役目を果たした。
その薫陶を受けた今季のユベントスは、クラブレコードを記録するほどの驚異的なペースで勝ち点を積み重ねている。
敗北や引き分けが濃厚なゲームでも試合を諦めず、最後には強引に勝ちを引き寄せるその姿勢は紛れもなく先人たちの遺したそれの賜物だろう。
そんなチームの中で、偉大なるカピターノ、ジジ・ブッフォンの後を引き継ぎ今季から正守護神を務めるのがポーランド代表のGKヴォイチェフ・シュチェスニーだ。
jmania.it17年間を老貴婦人(ユベントスの愛称)に捧げた前任者の後継となることに少なからずプレッシャーを受けることも懸念されたが、本人は「僕はネクストブッフォンにはなれないよ」と謙虚な姿勢を見せる。
「僕がなれるのはユベントスの新しい背番号『1』ということだけさ。そしてゴールに飛んでくるボールを止めることだけだよ」
そう語るシュチェスニーはブッフォンの幻影に囚われることなく、自身の最善を尽くした新たなる背番号「1」の像を築きあげようとしている。
冷静なポジショニングと飛び出しの判断、そして安定したセービング能力を兼ね備える彼はリーグでも屈指の実力者と言っても過言ではないだろう。
そんなシュチェスニーの才能は母国の強豪レギア・ワルシャワによって見出され、そしてイングランドの雄アーセナルによって磨かれた。
コメント
シュチェスニーと言えば去年のCLレアル戦の2ndレグで怒り狂って退場するブッフォンを必死になだめながら俺に任せろって雰囲気で交代する場面が頭を過る。
結果としては負けた試合でしたがあの時のシュチェスニーの熱い振る舞いには正直いい意味で驚かされました。ユベンティーノに対しても今後の力強いアプローチになってたと思います。
頑張れシュチェスニー!