コラム:トリノに舞い降りた怪物
でなければ、CL3連覇を決めた直後に退団をほのめかすコメントを残すかどうか。
そして冒頭のコメントを読み返すと、レアル・マドリーへの感謝と同時に、嫌気がひしひしと伝わってはこないだろうか。
そしてC・ロナウドは、ユベントスを選んだ。メンデスの顧客でもあるSBジョアン・カンセロ獲得をきっかけに“トントン拍子”に交渉は順調に進んだ。
その影にはジュゼッペ・マロッタCEOとファビオ・パラティッチSD、そしてアンドレア・アニェッリ会長の貢献は計り知れない。
だからこそ、記者会見で前途の4人が顔を揃えた。そしてこれほどのビッグディールが、ほぼ数日でまとまったケースも珍しい。
メンデスとペレス会長の「紳士協定」もメディアに取り上げられた。要約すると「国外移籍なら1億ユーロで大丈夫」というものだ。
これも「C・ロナウドの心を深く傷つけた」ともいわれている。たしかにペレス会長は国内外のタイトル獲得に貢献したクラブの功労者に対し、年俸の値上げを渋った。
「CR7」ことクリスティアーノ・ロナウドは、誰よりも結果を残した。さぞ、怒り心頭だったはずだ。
C・ロナウドのユベントス移籍が決まると、30%値上げしたシーズンチケット29300枚は完売。
クラブの株価は30%以上も値を上げた。ユニフォームに至っては、初日の24時間だけで52万枚以上が売れたようだ。まさに「怪物」級の記録を作っている。
Men’s Health多くのユベンティーニが歓喜する中、33歳という年齢に疑問をもつサッカーファンも少なくない。しかし、これは杞憂に終わる可能性が高い。
連日、各国メディアはこのバロンドーラーの肉体を詳細に調べぬいている。
イタリア紙『La Gazzetta dello Sport』は先日閉幕した「ロシア・ワールドカップに参加した全選手の中で最高のアスレティックパフォーマンススコアを記録」とその能力の高さに言及。
イギリス紙『Sun』は「身体的な年齢は20歳ほどのプロサッカー選手と同等。生物学的には、3年間は高いレベルでプレーが可能」とメディカルチェックを担当した医師の証言を掲載している。
C・ロナウド入団で、期待が膨らむのがFWパウロ・ディバラの存在だろう。
このアルゼンチン代表FWは、近年のバロンドーラーを独占している「2人」と同じチームで戦える稀代の存在になる。
FWリオネル・メッシとは代表で母国のために共に戦い、ユベントスに戻ればC・ロナウドがいる。
そんな“贅沢”を味わえる数少ない選手である。バロンドーラーがつねに隣にいるだけでも、新シーズンの飛躍が楽しみだ。