コラム:去りゆく男たちーーそして新時代へ
その偉大な背番号「10」と甲乙つけがたいほど愛された男が、2018年6月30日、ユベントスを去った。“ジジ”こと前途のブッフォンその人だ。
財布の紐が“固い”とされるビアンコネーロをもってして、クラブ史上2位となる5230万ユーロでユベントスに加入した男もまた、キャリアのすべてを“イタリアの恋人”と称されるクラブに捧げた。
今世紀が始まった2001年当時、GKにこれほど多額の移籍金を注ぎ込んだユベントスを世界は嘲笑した。
「正気の沙汰ではない」と罵(のの)しられたのを記憶しているオールドファンも少なくないのではないか。
だが、この移籍がユベンティーニにとって、後世まで語り継がれるものになる。
ユベントスの栄光の背番号「1」を任された23歳は、移籍初年度にスクデットを獲得。おおくの誹謗中傷を覆し、罵詈雑言を黙らせた。翌年にはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準優勝にも大きく貢献した。
だがその後、ブッフォンが「CL FINAL」という舞台に立つのは“超”がつくほどベテランの域に入った37歳になってからである。
そして、ついにユベントスでビッグイヤーを掲げる日はやって来なかった。
The Nationalユベントスで656試合を戦い404勝に貢献。300を超えるクリーンシート。アリアンツ・スタジアムにある「ユベントスミュージアム」に飾られるトロフィーの3割は、ジジ・ブッフォンが獲得に貢献したものである。
クラブの創立は1897年。1世紀を超えるユベントスの歴史を顧みると、驚異的な数字と言っていいだろう。
ワールドカップ獲得に大きく貢献した2006年。その絶対的守護神が翌年、セリエB(イタリア2部リーグ)でプレーもした。
誘いがあったメガクラブに移籍していればひょっとしたら、ビッグイヤーを掲げていたかもしれない。
それでも、ユベントスを選んでくれたのは今後も語り継がれていくべき“物語”だろう。そして現地時間6日、パリ・サンジェルマンへの移籍が正式に決定した。
だが、ユベンティーニにとってジジ・ブッフォンはどこに行ってもジジ・ブッフォンのはずだ。そして物語の終わりを、次の言葉たちで締めくくった。
旅はいつか終わる。
私たちが一緒に書いた本は閉じなければならない。
そして新しい旅が始まる。
ふたたび新しいページを書き進めなければいけない。
ビアンコネーロのユニフォームは私の第二の肌にあった。
本当に感謝している。
私はこのユニフォームを着て多くの人に愛され、尊敬された。
本当に感謝している。
ユベントスは家族であり、私はユーベを愛し、感謝しつづける。
コメント
CR7の能力は否定できない中で、それでも獲得を否定するのは、それだけユベントスというチームに愛情があるからなんだと思います。
ただ、一度地に落ちかけたチームを引き上げてくれたのは今の首脳陣であり、今のチームメート、そして去っていった選手たち。
彼らが望んで止まないビッグイヤーというものにたどりつくためのピースになるのであれば、歓迎してあげたいです。
そして、何よりユベントスとCR7が並列で語られることだけでも、実力だけでなく、ネームバリューとしてトップクラスに戻った証です。
今後、宝石のような選手達がCR7が選んだチームとして、憧れてくれるかもしれません。
そういう、未来まで見据えた一手としての獲得であれば、あとは最大限の期待をしたいですね。
ロナウドが来ても活躍できない可能性だってありますが、獲得に挑戦するだけの価値を持った、冒険するだけの価値を持った超スーパースター。
彼の試合や練習に臨む時のメンタリティーを知れるだけでもCLで勝つ為の助けになりそう。
>ユベントスのアイデンティティ
2007-08○, 2013-14○, 2015-16○, 2016-17○, 2017-18○ CR7(1985-)
1972-73●, 1982-83●, 1984-85○, 1995-96○, 1996-97●, 1997-98●, 2002-03●, 2014-15●, 2016-17● Juventus(1897-)
フロントはそれを無視はしていないと思う。
CR7の十数年がユーベの百二十年より上という現実を謙虚に受け止めている。
スポーツ上ではCR7がきてもイグアインやディバラの実力を引き出しきれないのと同じ問題から
チームが勝てないまま終わるということはあるかもしれないが
ビジネス上での影響力からユーベは確実にクラブとして強くなる。
だからフロントは勝つためにするべきことを必死にしている。
勝利が目的で他は手段。アニェッリがそのことをよくわかってることに感動している。
今まさにユーベらしくない動きをしようとしていますが、ユーベに足りてなかった動きでもあるのかもしれませんね。
新スタジアム、新ロゴ、そしてCR7。革新する時が来たのかもしれません。
ここから破談になったらいつもの堅実なユベントスに戻るでしょうけど(笑)
CR7「新しい時代を作りに来たよ!後は任せな。」