コラム:流した涙を糧に
アスリートの涙は、美しく映る。状況、背景、その後の過程がまたファンをより一層ファンにし、虜(とりこ)にまでする。
たとえば、先日ユベントスを去ったMFクラウディオ・マルキージオは2016/17シーズンのスクデット授与式の最中、涙を流した。
そのことを覚えているユベンティーニは少なくないだろう。その昨シーズンの2015/16シーズンに前十字靭帯断裂の大怪我を負った。
無事にシーズンを終えたことによる安堵の涙か。それとも、その数日後にUEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝戦を迎えるまでになったユベントスへの感慨か。
ティフォージによって多数の想像があり、そして根拠があるはずだ。ひょっとしたら、ともに戦ってきたDFレオナルド・ボヌッチの退団をこのときすでに知っていた可能性すら存在する。
だが、その理由はマルキージオだけが知り得るものであり、ユベンティーニが知る由もないのが実情だろう。
抱けるのは「ロマン」だけに他ならない。
しかし、今シーズンのCLバレンシア戦でFWクリスティアーノ・ロナウドの流した涙は説明がむずかしい。
これまでマンチェスター・ユナイテッド時代、レアル・マドリー時代に「歓喜の涙」を幾度となく目撃してきたが、今回の涙は前例のないものだった。
For The Win – USA TodayCL直前のサッスオーロ戦でユベントス移籍後初ゴールを記録し、その後も加点。ドッピエッタ(イタリア語で2ゴール)の活躍でビアンコネーロに勝利を届けていた。
“CL男”とも“優勝請負人”とも称されたクリスティアーノが、ユベントスで迎える大会初戦。大きな注目が集まるのは必然だった。
しかし、贔屓目(ひいきめ)に見ても不可解すぎるレッドカードによりバロンドーラーはわずか29分でピッチを追いやられた。
そのとき、涙を流し、許しを請い、無実を訴えた。しかし、サッカーの歴史を紐(ひも)解いても撤回されたケースはほぼ存在しない。
その後、試合を裁いたフェリックス・ブライチ主審には多くの誹謗中傷があり、サッカー界のOBやレジェンドからもクリスティアーノを同情する声が寄せられた。
ユベンティーニも、このドイツ人の主審を糾弾した。2016/17シーズンのCL決勝戦ユベントス対レアル・マドリー戦を裁いたことも持ち出すティフォージも存在した。
たしかにあの決勝戦でもWGファン・クアドラードにレッドカードが提示された。DFセルヒオ・ラモスの足を踏んだ、として。
挑発に乗ったコロンビア代表WGが悪いのか、レアル・マドリーの主将が狡猾(こうかつ)だったのか。答えはユベンティーニによって異なり、終わったことは変えようがない。
コメント
セリエ38試合
コッパ5試合
スーペルコッパ1試合
CL13試合
UEFAスーパーカップ1試合
言葉通りにすべてのコンペに勝つチームが出来つつある。
アニェッリは今のチームにすら満足していないのが志高すぎる。
今季トレブルで来季クインタプルだといいなあ。