コラム:ユベントスとFINO ALLA FINE
著者:J-JOURNAL 編集部 山口 努
ユベンティーニにとってスタディオ・オリンピコでのローマ戦は、久しぶりに「喜怒哀楽」を感じる試合になったのではないだろうか。
今シーズンよりビアンコネーリに“あの”マッシミリアーノ・アッレグリ監督が復帰しても、このチームを「修復」するのは、並大抵のことではないのだろう。
スクデットレースに絡めず、不安定な“航海”に指揮官は「少しずつ良くなっている」といったニュアンスで毎試合後、語っている。
守備を基礎から築くにも、DFジョルジョ・キエッリーニはキャリア最晩年にある。
“頑丈”だったDFレオナルド・ボヌッチも最近は怪我がちになってしまった。
DFマタイス・デ・リフトは怒りの声を挙げ、DFダニエレ・ルガーニも殻を破れずにいる印象が濃い。
MF陣をみても、「柱になれそうな」ジョカトーレはいても、自身のアイデンティティをピッチで体現できるジョカトーレがいないのだろう。
このことこそ、チーム作りが遅れている要因になるのではないだろうか。
そしてFW陣だ。アッレグリ監督が全幅の信頼を寄せていたFWマリオ・マンジュキッチはすでにスパイクを脱いだ。
毎試合、「いずれゴールするだろう」と口にしていたFWゴンサロ・イグアインもいない。
口にこそしないが、現在のチームに「自分好みのジョカトーレが一体何人いるのか」と、聞きたいところではある。
アッレグリ監督は、ローマ戦の前日会見で「現時点でのシーズンの目標は4位以内に入ること」と釘を刺した。
そして「ここ1、2年でスクデットを争うレベルに戻すための仕事をしなければならない」とし、「そのような1年になることを分かったうえでユベントスに戻って来た」と語っている。
新年一発目のナポリ戦ではいくつかのエピソードが生まれたものの、残念ではあるがユベントスはいつの時代も“擁護されない”クラブである。
そのことはクラブの伝説的なゼネラルマネジャー、ルチアーノ・モッジ氏も問題には「しっかり声を挙げなければならない」と以前、語っていた。
しかし、厳格なアニェッリ家の方針なのか、決定事項に文句をつけるような“下品”なことをするつもりは今後も一切ないのだろう。
ユベントスは2022年を迎えても、煮え切らない状態でローマ戦を迎えた。