コラム:快晴のロンドン
ビアンコネーロも反撃を試みるもスパーズを崩すには至らない。前半45分が終わろうとした39分、ついに均衡を破られる。FWマリオ・マンジュキッチやWGファン・クアドラードといった攻撃陣の相次ぐ怪我、煮え切らない展開。旦那さんの言葉がやはり“社交辞令”に思えてきた。
長かった前半が終わり0-1。このまま終われば2戦合計2-3でユベントスの敗退が決定する。後半も追い込まれる展開がつづき、為す術もなく過ぎる時間に、今シーズンの“終わり”を覚悟し始める。
しかし、ユベントスに就任から3年間でスクデット3連覇、コッパ・イタリア3連覇、CL準優勝2回を誇るマッシミリアーノ・アッレグリは思わぬ、そしてこれまで披露したこともない奇策で対抗してみせた。60分、マテュイディを下げMFクワドォー・アサモアを投入。
さらに61分、CBメディ・ベナティアを下げRSBステファン・リヒトシュタイナーを投入する。この日RSBを任されていたCBアンドレア・バルザーリを本来のポジションにスライドさせる。
スタジアムにいたユベンティーニはこの交代に罵声を浴びせ、無言な者はまったく納得のいっていない顰(しか)め面をみせていた。ほぼ戦力外となっていたベテランの両雄に筆者を含め、誰もが疑問符のつく交代が恐ろしいほど奏功する。
アサモアにスパーズの攻撃の舵を取るMFクリスティアン・エリクセンをほぼ密着マークさせ、攻撃にはほとんど不参加。マテュイディの特徴の一つでもある左からの推進力がなくなったことはチームにとってたしかな痛手だったが、その推進力を右に移す。
“不死鳥”リヒトシュタイナー。このスイス代表SBは昨シーズンにつづき今シーズンもグループステージではCLメンバーに登録されなかった。昨シーズン同様に決勝トーナメントからメンバーに復帰し、この試合で250試合目の節目となる“復帰戦”で輝きを放つ。
この試合、右サイドから攻撃に入ることの多かったディバラとWGドウグラス・コスタの囮(おとり)となる動きでユベントスを活性させる。顕著だったのは64分、背番号「10」のパスをMFサミ・ケディラに合わせ、ドイツ代表MFがファーサイドに流しFWゴンサロ・イグアインが決めた同点弾だろう。
ユベンティーニならば共通認識だが、リヒトシュタイナーもアサモアも今シーズン限りでの退団が濃厚となっている。前者はアントニオ・コンテ前監督に獲得を熱望され、ユベントスがなんたるかをピッチで表現してくれた熱血漢である。
後者はコンテ政権2年目にウディネーゼからやってきた。アンドレア・ピルロ氏、MFアルトゥーロ・ビダル、MFクラウディオ・マルキージオ、そして新鋭MFポール・ポグバを要した中盤のどこで起用されるかに注目が集まった。
現チェルシーを率いるユベントスのレジェンドは、このガーナ代表MFをLWBにコンバートする。するとこの奇策が、アサモアの地位を確固たるものにし2013/14シーズンのセリエAベストイレブンに選出されるまでになる。
コメント
世代交代はどこの世界でも必ずある。
ユーベでキャリアを終えて欲しい選手は過去にも沢山いたけど、それが叶うのは極僅かなのが現実。
長年ユーベに貢献してくれた前バンディエラでさえ、喧嘩別れでは無いとはいえユーベでキャリアを終える事は出来なかった。
今、まさにB落ちの時に残ってくれたジジを含め、その後6連覇に貢献してくれたレジェンド達が一気に退団、引退の可能性がある。
そしてイタリア人も随分と減り、ユーベも世代交代をする時が来てるのかも知れない…が、残念ながら勝者のメンタリティやユーベ魂を継承する若手が出て来てるとは思えない現状。
絶対に避けられないこの問題…果たしてどうなるやら…
貢献してくれて来た選手たちが退団していくのは、競争力の維持のためと分かっていても胸を引き裂かれる思いです。 チームへの愛着を口にしてくれる選手であれば尚更つらい。 でも、避けられないことだと思うし、必要なことなんだろう。 ならば、せめて若い選手たちが彼らベテランから一つでも多くの事を学んで、ユベントスの精神とか魂のようなものをしっかり継承していって欲しい。