コラム:ユベントスがユベントスであるために
「ユベントスでわがままは許されない」
かつてユベントスのゼネラルマネージャーを務めたルチアーノ・モッジが語った言葉である。その言葉の通り、フランス代表の主将MFディディエ・デシャンを放出し、のちにインテルで「神」とまで崇められたFWクリスティアン・ヴィエリを追いやった。
その伝統は、脈々と受け継がれている。約10年前にモッジが去ったあと、仮にユベントスが伝統を踏みにじっていたら現在のように復活できたかは怪しいところだ。また、それを見事なまでに形にしてみせたのがアントニオ・コンテだろう。
現役時代ビアンコネロの主将まで務めた熱血漢は、監督を任されたそのシーズンから現在まで6連覇を成し遂げているのは偶然ではないはずだ。実際、コンテ時代に見限られた選手たちは、のちに大成しただろうか。
元来ユベントスには身勝手な選手を伝統的に許さない風潮があり、能力が高くとも獲得までには至らないケースが多々ある。そのアイデンティティーをGKジャンルイジ・ブッフォン、DFアンドレア・バルザーリが受け継ぎ、現在に至る。
sofoot.comいまやエースに成長したFWパウロ・ディバラもパレルモからユベントスに入団した直後、トレーニングの態度を見たバルザーリが「小僧! ここをどこだと思っているんだ!」
「ユベントスだぞ! お前はユベントスの一員としてプレーしているんだ」と“新米FW”を怒鳴りつけた話はよく知られている。
勝利とは、小さなことの積みかさねでしか掴むことのできないことを示す最たる逸話だろう。それでも昨シーズンは悲願のUCL(欧州チャンピオンズリーグ)タイトル獲得には至らず準優勝に終わっている。
試合後、その決勝戦のハーフタイムに「ひと悶着(もんちゃく)あった」といったニュースが出回ったのは記憶に新しい。DFレオナルド・ボヌッチがマッシミリアーノ・アッレグリに戦術変更を求める越権行為。
ボヌッチがバルザーリを殴った、DFダニエウ・アウベスがロッカールームで踊りだした、など流言蜚語(りゅうげんひご)が多々あったが、真実は当事者のみが知り得る事実だろう。
だが、ボヌッチにしろ、アウベスにしろ、チームを去った。
それだけは事実である。前者は現在の“王朝”を築くに至る功労者の1人であり、後者はUCL準優勝に多大な貢献をした。その両名を放出した理由は想像に難しくないだろう。
コメント
通常ユベントスではチーム内部のことが表沙汰になることは滅多になく、ロッカールーム内部のことが漏れたことは事態が深刻であったと推測できます。ボヌッチの件はユベントスOBの多くが内部規律違反による放出だと言っています(モッジ氏なら国外に出したでしょうが)。
D.アウベスに至っては未だにユベントス批判を繰り返しています。結果論的になりますが、個人的にD.アウベスはプレースタイルやイタリアの守備戦術の観点から本当に必要な選手?と獲得当初は思いました。
モッジ氏はかつてインタビューでこう言っています「名門ユーベに入る意味を分かる者だけが、その門をくぐることができる」と、ユベントスは再び栄光を取り戻たのですから、マロッタCEOもたまにやる不要な補強を止めユベントスに加入する意味を理解している選手を獲得して欲しいものです。お金で解決できるようなご時世なので厳しいとは思いますが。
ブッフォン、バルザーリが引退してもキエッリーニ、マルキージオが
しっかり引き締めてくれそうですね。
そしてルガーニがのちにその後を継ぐといいなぁ。
山口さん、いつも勇気をくれるコラムありがとうございます。
主力をあっさり放出するたびに悲しい思いをしてきました。
ただ、Juventusはヨーロッパ屈指の規律あるチームです。
その規律を守れないなら必要はありません。
新天地での活躍をそっと見守りたいと思います。
新たなシーズンに向けて、チームも私たちも準備をしたいですね。
SZCZĘSNYいいですね!
pipeさん
こちらこそ、いつもご拝読ありがとうございます!
世界中の多くの識者、レジェンドたちが昨今のユベントスを「戻ってきた」と賞賛してくれていますね。
嬉しい限りです。
昨晩のトッテナム・ホットスパー戦の敗戦は悔しい限りですが、マッシミリアーノ・アッレグリには来年の6月を見据えたチーム作りをお願いしたいですね。
補強を含め。