コラム:進化しつづける予測不能な“アッレグリユベントス”の「完成形」
サッカー界にはその強さを象徴する形容詞がいくつも生まれてきた。古くは「マジック・マジャール」。80年代は「シャンパンフットボール」。近年では「Tiki-taka(チキタカ)」だ。
先日、UAEで開催されているアジアカップ・ベスト16、日本代表対サウジアラビア代表の試合後、SB長友佑都は興味深いコメントを残した。
元インテルの背番号「55」は、23.7%のボール保持率ながら1-0で勝利した試合をふり返り「最後のところで締めて、集中していれば問題ないというメンタルがピッチ上にあった」
「それは強いチームの…とくにユベントスとか、そういった雰囲気が漂っているんですよ。主導権を握られていても強いチームというのは、戦い方を変えられるんですよ」
「ボールを持たれても、勝てる方法があるというか…」とビアンコネーロの強さを肌で知る日本代表SBはサウジアラビア戦をふり返っている。
“デルビー・ディ・イタリア”を経験し、ビアンコネーロの強さをよく理解している長友だからこそ、ユベンティーニにとっては興味深いコメントに映ったはずだ。
またこの日本代表SBは2016/17シーズンのCL決勝戦、ユベントス対レアル・マドリー戦を前に「僕はインテルの選手だから」と前向きした上で次のように語った。
「彼らは守備において本当に隙をみせない」とし「ピッチに立たないとあの感覚は分からない」とユベントスの屈強さを日本のメディアに公言していた。
Marca試合は1-4の完敗。試合が終わると長友は「うそだろ! あのユベントスが4点もとられるなんて…」とレアル・マドリーの強さに驚嘆の声を挙げたのを覚えているユベンティーニは少なくないはずだ。
昨シーズンのCLは、ディフェンディングチャンピオンをあと一歩のところまで追い詰めたが勝利には至らず、1995/96シーズン以来となるCL制覇はまたしても夢と消えた。
そのシーズンが終わると、その夢を散々打ち砕いたFWクリスティアーノ・ロナウドがユベントス加入し、世間を騒然とさせた。
このバロンドーラーは気づけば「15」得点を挙げ、セリエA得点王争いに名を連ねるまでになっている。
そして今シーズンは国内無敗だ。ユベントスが挙げたゴールはセリエAでは「43」得点。コッパ・イタリアでは「2」得点、UEFAチャンピオンズリーグでは「9」得点。合計54得点を数える。
では、ビアンコネーロの得意とする攻撃の形はどのようなものだろうか。
クリスティアーノの存在だけではないのがイタリア王者の奥行きであり、FWマリオ・マンジュキッチの闘志あふれるプレーもチームをより高みに誘(いざな)っている。
前途の両者で思い浮かぶのはどれもその「形」にはあてはまるが、それがすべての答えにはならないのではないだろうか。