コラム:進化しつづける予測不能な“アッレグリユベントス”の「完成形」
チームトップのスコアラーは「17」得点のクリスティアーノ。マンジュキッチが「9」得点の2位、FWパウロ・ディバラが「7」得点の3位。
FWフェデリコ・ベルナルデスキとMFミラレム・ピアニッチが「3」得点で4位。MFブレーズ・マテュイディとMFロドリゴ・ベンタンクールが「2」得点で6位。「1」得点のDFが4名、MFが2名、FWが3名と合計9名となっている。
数字だけをみると、「クリスティアーノとマンジュキッチを攻撃の柱に据え、ディバラがサポートし、技巧派のピアニッチとベルナルデスキが絡む」といった構図ができ上がる。
だが、実際はLSBアレックス・サンドロとRSBジョアン・カンセロが攻撃にアクセントを加え、WGドウグラス・コスタのカットインからチャンスメイクする。
また、無尽蔵なスタミナを誇るMF陣がピッチを縦横無尽に走り回る。ときにFW陣を追い越し、マークを引きつけるなど多種多彩な攻撃をみせている。
スクデット7連覇、コッパ・イタリア4連覇。そして今シーズンはリーグ無敗。勝利に慣れきってしまったユベンティーニからは、「地味」「つまらない」といったネガティブな声も少なくない。
常勝チームの弊害か、深みはあっても派手さのない“アッレグリサッカー”に辟易(へきえき)してしまったのか。理由は分からない。
だが、ユベンティーニはもちろんのこと多くのサッカーフリークから称賛を集めたゴールが、セリエA第20節キエーヴォ戦の45分に生まれた。
Zimbioじつに28本ものパスを回し、ディバラの巧みなアシストからMFエムレ・ジャンのユベントス初ゴールを決めたシーンだ。
このゴールにイギリスのデータ会社『optasports.com』は「セリエAで、これ以上にパスを繋いで得点を決めたチームはない」と分析結果を掲載。
イタリア紙は「ユベントスはTiki-takaでティフォージを沸かせた」、「1分30秒の魔法」とイタリア王者に賛辞をおくっている。
私見ながら、このTiki-takaに加わったDFダニエレ・ルガーニが目を惹いた。この試合はこれまでのイメージを覆すかのように堂々たるプレーを披露してくれた印象が濃い。
特筆すべきはTiki-takaの最中にドリブルで状況を変えようとし、その後もループパスを送ったシーンだ。自信がなければ、試すことさえ躊躇する2つの“パス”に絡んでいる。
たとえキエーヴォが現在最下位だとしても、これまでビルドアップに難があった24歳のイタリア代表DFはこの試合では自信をもって縦パスを入れ、ときにテンポを変える切り返しをみせてくれた。
そもそもルガーニは守備には定評があった。それだけに、今後も自信をもってさえプレーすればマッシミリアーノ・アッレグリも期待を寄せる「ユベントスの未来」はさらなる進化が期待できる。
そして第21節ラツィオ戦でも、その可能性を感じさせるプレーを幾度も披露してくれたのはユベンティーノにとって計算できる逸材だと感じさせたはずだ。