コラム:復調し始めたイタリアの盟主
今季のユベントスの行き先にはつねに意地悪な天気がつづいている
開幕から晴天がつづく日がない。雨かと思えば土砂降りになり、すぐに弱まる。海外へ“出かければ”晴れるが、戻ってくれば晴れる日もあるがすぐに曇り空に変わり、すぐに暗雲が垂れこめる。
昨季3冠目前まで迫ったチームだったことを考慮すると「運が悪い」では済まされないのが現状だろう。シーズン開幕からプロビンチャ相手に7本の枠内シュートで4得点。3−1で勝利したボローニャ戦では、放たれたシュート1本が得点に結びついているのも「運の悪さ」を如実に物語っている。このことは、長らくビアンコネロを見続けるイタリア人ジャーナリストのチェザーレ・ポレンギ氏ですら、こんな経験はないという。
今季セリエAに昇格したフロジノーネにも初の勝ち点をプレゼントし、現在好調のナポリもユベントス戦後から始まった、と解釈できなくもない。事実その後、彼らは負けていない。また、ボルシアMGにもUCL(欧州チャンピオンズリーグ)初の勝ち点をプレゼントしている。相手にとっては願ってもないほどありがたい贈り物だったはずだ。
開幕から不安定だったチームに安定をもたらしたのは、まちがいなくMFサミ・ケディラとMFクラウディオ・マルキージオの怪我からの復帰だろう。この2人の存在はチームに多大な安定感をもたらした。実際、彼らが出場した試合は敗北がないのは見逃せない。
第8節のイタリアデルビーではケディラのポストを叩くシュートがあったもののスコアレスドロー。順位は14位まで落ち、第9節は勝利したものの第10節はアウェイでサッスオーロに敗れ11位。この試合に前途の2人のMFの姿はなかった。
第11節のトリノデルビーで劇的勝利をかざると順位を10位まで押し上げる。第12節のエンポリ戦でも勝利し今季初の連勝、ボトム10から這い上がり7位となる。第13節のミラン戦に勝利すると6位まで順位をあげ、1位とは勝ち点9差を維持している。
マッシミリアーノ・アッレグリ監督は先日、ガゼッタ・デッロ・スポルト紙に対し「追いかける者は決して間違うことはできない」というコメントを残している。リーグ戦は残り25節ある。ここから5連覇も決して夢物語ではないはずだ。
不調に陥るたびにMFアンドレア・ピルロ、MFアルトゥーロ・ビダル、FWカルロス・テベスの名前がたびたび挙がるが、たしかに彼らは偉大だった。ビダルは移籍したバイエルン・ミュンヘンではすでに欠かせない選手になっているし、テベスも今季5ゴールながら、ボカ・ジュニアーズを4年ぶり31回目のリーグ優勝に導いている。
だが、最近では3人の名前があまり聞かれなくなっている。
それは現ユベントスが、怪我人こそ多いが復調し始めているのが大きな要因だろう。今季から新加入した選手たちが、戦術的にも、選手同士の理解が進んだことによる “馴染み”が生まれているからにほかならない。
実際、UCLでは負けていないのが何よりの証拠だろう。ユベントスに慣れたセリエAのチームにしか今季は負けていないのだ。それに慣れていない相手にとっては、やはり手強い相手なのは結果が証明している。
雨が降り、晴れ間がのぞくと美しい虹が出るのはよく知られている。また、「雨降って地固まる」といった、ことわざもある。今後も雨が降り、地すべりが起きてしまうのか。または“足元”が固まり、その後に美しい虹を見ることができるのか。
ユベンティーノにとっては気苦労が多いシーズンだが、記憶に色濃い一年になりそうだ。
著者/Juventus Journal 編集部 山口 努
コメント
ビダルの穴は、ケディラが怪我さえなければ埋めてくれるだろうし、その後ろにはストゥラーロが控えていて、最近の調子が続けばこの2人でいい定位置争いが生まれると思います。ピルロの穴は少しタイプが違うがマルキがしっかりカバーできてますが、怪我の時のバックアッパーが必要だと思います。正直、レミナはいい選手でもっと出番あげたいけどマルキとはまだかなり差がある。テベスの穴はディバラが埋めれてきてるから、この冬信頼できるマルキのバックアッパーとれれば、去年のように安定して結果が残せれると思います。
genoaさん、いつもコメントありがとうございます!
昨日の試合(ラツィオ戦)もそうでしたが、余裕が出来て来たら若手にも出場の機会を与えてあげてほしいですね。特にルガーニはチャンスが少なすぎて本人のモチベーションも含め気になりますし…
良い文章ですね
馴染んできた感はわかります
ただCL権、もしくは優勝を狙うには、あまり手を抜けないでしょうし
怪我人も戻ってきたら
ザザや、ルガーニ、レミナなどの若手の出番がどれだけあるかな