J-JOURNAL 9周年企画 「メディアの現在地」 岩本義弘さん登場!
――先入観みたいなことですか?
「そうですね。それだと、事実が凄く捻じ曲がってしまい、読者にも誤解を与えかねないですよね」
「『REAL SPORTS』という名前でメディアをやっていることは、そういう意味もあります」
「『スポーツのありのままを伝えていこう』という趣旨はありますね」
「スポーツメディアに携わって25年以上やらせてもらっていますから、そういった部分を大切にしています」
――現在はSNSが普及したことで、サッカーメディアも多種多様なサービスをおこなっています。
良い部分も多いとは思いますが、同時に、メディアへの不信感もあるように感じます。
長年、現場に立ちつづけた岩本さんは昨今のサッカーメディア界について、どのように感じていますか?
「近年よくあるのが、日本の誤訳した記事がヨーロッパのメディアに拾われて、逆輸入されていることですかね」
「日本発の完全な誤報は、一切取材をしないで現地の記事を翻訳して作成する、いわゆる“こたつ記事”で生まれている気がします」
「スコアなどの結果に関しては新聞社さんにお任せして、ほかのメディアはやらないほうが良いように感じます」
「責任のないアルバイトにそういった仕事をやらせることによって、問題が起きたとき、サッカーメディアやスポーツメディアに対するファンの不信感はどんどん溜まっていく印象を受けますね」
「だって、『そんなこと、ある?』っていうようなとんでもないことが起きてますよね?」
「ひどい例で言うと、日本のメディアが“こたつ記事”で作成した事実と異なる記事が、ヨーロッパのメディアによって『日本発の記事』として紹介され、それがさらに翻訳されて日本のメディアで掲載される、という…(苦笑)」
「通信網の発達や進化によって、まるでパロディ映画みたいなことが現実でも起きていると感じます…」
――最近は選手本人が『X(旧Twitter)』で「そんなこと言ってないよ」と投稿されるケースが少なくないですよね?
「そうですね」
――選手の主張が間違っているとは思わないんですけど…。もっと建設的なやり取りは生まれないものか、と個人的には思います。
「本当ですね。仮にその記事で『数字』を取ったところで大した金にはならないんですよ。実際」
「加えて、ネット広告を“回す”みたいなのも個人的に好きではなくて…」
「そういったことを含めて『PVを取りにいく』ようなメディアをやっていると、疲弊すると思うんです」
「『REAL SPORTS』では、ストレートニュースを掲載しません」
「そこは凄くこだわっていますね」
「ストレートニュースは、『大手メディアに任せておけよ』と思っています(笑)」