コラム:敵視され、逆境に立ち向かう「アッレグリ・ユベントス」
著者:J-JOURNAL 編集部 山口 努
小株主としてビアンコネーリに復帰したルチアーノ・モッジ氏は先日、「ユベントスはみんなのおもちゃになった」
「誰もが批判できるクラブに成り下がってしまった」と、つねに強硬な姿勢を崩さなかった85歳の老紳士は近年のビアンコネーリについて嘆いた。
「イタリアの恋人」と愛され、国内全土に大多数のティフォージを抱えるクラブは現在、四面楚歌(しめんそか)の状況にある。
アンドレア・アニェッリ前会長がレアル・マドリーとバルセロナとともに2021年4月に「フットボール界の転機」として謳(うた)いESL(欧州スーパーリーグ)構想を立ち上げた。
この構想がUEFA(欧州フットボール連盟)の逆鱗に触れ、FIFA(世界フットボール連盟)の怒りも買った。
世界のフットボールを牛耳る両連盟が“睨(にら)み”をきかすと、賛同していたイングランド、スペイン、イタリアの有力クラブが次々と脱退を発表した。
構想を諦めないマドリー、バルセロナ、ユベントスにはUEFAの主催大会から追放がささやかれ、3クラブの所属選手はFIFAが主催する大会への出場禁止も噂された。
SerieA.pl加えて、ジュゼッペ・マロッタ現インテルCEO(最高経営責任者)を失って以降のビアンコネーリは、優れた“羅針盤”を失っていた。
およそ1億ユーロを費やして獲得したFWクリスティアーノ・ロナウドの大義名分は、CL(UEFAチャンピオンズリーグ)制覇のためだろう。
アスリートという「肩書き」すら超越(ちょうえつ)したクリスティアーノの獲得は、大幅な集客により莫大な利益をクラブにもたらした。
つづく2022年夏、オランダの至宝でありアヤックスの最高傑作であるDFマタイス・デ・リフトをおよそ7500万ユーロで獲得する。
これまで「高額で売る側」だったユベントスが、突如として「高額で買う側」にまわっていた。
身の丈に合わない補強戦略。そして、クラブの伝統をぶち壊した移籍市場の動きに“天罰”が待っていた。
新型コロナウイルスのパンデミックである。
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