コラム : シャチリのインテル移籍。暗雲漂うユーベ
2015/01/09
本日ユベンティーノにとって“ショッキング”なニュースが舞い込んできた。前節のイタリアダービーの対戦相手であるインテルのMFシェルダン・シャチリ獲得が濃厚となったからだ。シャチリは本日インテルの本拠地であるミラノに到着。メディカルチェックを済ませ、問題がなければ近日中にサインが交わされることとなるだろう。
『SKY Sports』の取材の際、ミラノに到着したシャチリは次のようにコメントしている。
「ここに来て幸せか?とても幸せだよ。目標について?複数の目標を持つことが重要だと思っているよ。チャンピオンズリーグ(出場権)は、目標の1つだ。」
「バイエルンに関して?僕とクラブはあらゆる面において問題ないよ。今はここに来ることができて幸せに思っているし、インテルと共にいくつもの目標を達成したい。マンチーニ?彼が僕を呼んでくれ、ここでプレーすることを欲してくれたんだ。彼とこれから歩んでいくことになるなんて幸せなことだよ。」
シャチリはインテルへの移籍の喜びをこのように表現している。
昨年の夏季マーケットが閉幕して、冬季マーケットで始まるまでユベントスが獲得に動くであろうとしきりにメディアにおいて取り上げられていたことが嘘のように、インテルへの移籍は短期間でまとまってしまった。「出場機会」と「マンチーニ監督」の存在が移籍へ決め手となったことは間違いないだろう。2014ブラジルワールドカップが閉幕してから、バイエルンの退団を希望していた要因は、まさに出場機会の問題であり、自身の成長のためにプレーが可能な新天地を探索を行っていたはずだ。
その中でインテルという新天地への移籍を選択したのであるが、今冬マーケットにおけるユベントスの“失敗”であると、閉幕してから気付かされることになるかもしれない。なぜなら、ユベントスがシャチリの獲得に迫っていたからである。12月29日というマーケット開始直前の『SKY Sports』の報道によると、ユベントスはバイエルン・ミュンヘンに対し400万ユーロを支払ったのち、1600万ユーロ~1700万ユーロの移籍金で買い取りオプションを行使できる内容でユベントスとバイエルン・ミュンヘンの両者が合意していた可能性が高い。しかしながら、年末のこの報道を機にユベントス移籍に関する情報は途絶えている。
何故、合意にまで至ったとみられるシャチリの獲得を確実なものとしなかったのか。それは紛れもなくMFウェズレイ・スナイデルの存在であり、今冬マーケットにおける現時点でのユベントスのメインターゲットだからである。結果をもたらせた4-3-1-2システムを磨いていきたいアッレグリ監督は、ジュゼッペ・マロッタGM含めるスカウト陣に対し、スナイデル獲得を希望していたとみられている。つまり、『Rai Sports』記者であり、移籍マーケットに詳しいアルフレド・ペデュッラ氏が予想する通り、本命であるスナイデルの獲得に専念し、失敗のケースを考慮した上でシャチリを手中に収めておく狙いがあったのではないだろうか。
しかし、マーケットのフタを開けてみればピエロ・アウシリオSDを新たなマーケットにおける主役に置いたインテルに隙を見図られる形であっさりとシャチリを奪われてしまった。もちろん、11月の時点でインテルがシャチリをターゲットにしているのではないかと噂されていた現実もあるが。
一方、現時点で考えられる可能性の1つ、スナイデル獲得の交渉が大きく進展しているかどうかに関してはしばらく様子を伺う必要があるだろうが、少なくとも可能性が高いとはいえないだろう。ガラタサライが要求する額は、契約違約金と同額である2000万ユーロであるとアルバヤク理事や代理人であるグイド・アルバース氏が明言している。一部のメディアでは、ガラタサライが減額に応じているのではないかともいわれているものの、8日の『Gazzetta Dello Sport』の報道によれば、ユベントスは600万ユーロ~700万ユーロの条件で交渉を行う構えであるとのことだ。両クラブの条件面での開きはあまりに大き過ぎると捉えるべきだろう。
いずれにしても、アルバヤク理事はスナイデルがガラタサライの退団を希望しているという噂を真っ向から否定。イスタンブールでの生活に満足している上、クラブに売却の意思が無いと発言している。
厳しい局面を迎えているスナイデル獲得の計画を進めようと試みる傍らで、選択肢として確保しておいたはずのシャチリをライバルクラブの1つであるインテルに獲得されてしまった。スナイデル獲得を成功させることが出来ない限り、シャチリに関する虚しさはぬぐい切れない、というのは大袈裟な表現なのかもしれないが、少なくとも大きなヤマを狙いにいったことで自ら可能性を潰してしまうような結果を1月の終わりと共にみたくはない。残りのシーズンには躍進を夢見る欧州の舞台に加え、スクデット4連覇が残っている。
By Juventus Journal
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