コラム:現在のユベントスが過ごした10年間の日々
著者:J-JOURNAL 編集部 山口 努
現在までつづくビアンコネーリ王朝を築いたのは、2011/12シーズンであることに疑いの余地はないだろう。
その中心選手だったアンドレア・ピルロは現在、ユベントスの監督となり、今シーズンよりチームを率いている。
今から10年前、ピルロがピッチで“タクト”を振るい、MFアルトゥーロ・ビダルが走り、アントニオ・コンテがベンチで怒鳴り声を挙げていた。
コンテは昨シーズンよりインテルを任せられ、ビダルは今シーズンよりネラッズーロ(インテルの愛称)のシャツに袖を通している。
現地時間17日、スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァで開催されたデルビー・ディターリアは、インテルの完勝に終わった。
スコアは0-2だったものの、いささか清々しい感覚を覚えたのは少数派の意見だろうか。
コンテが率いるチームでビダルが走り回り、このチリ代表MFが与えたくなかった先制点を奪取してみせた。
誤解を恐れずに記すのならば、「コンテ・ユベントス」が強者をねじ伏せた戦いをふと思い出させた。
ビアンコネーリがスクデットから遠ざかっていた2011/12シーズン、彼らは“古豪”とも揶揄(やゆ)されたイタリアの名門にやって来た。
当初のシステムは4-2-4。だが、コンテはピルロという不世出な才能、当時の選手たちの特性に合わせた3-5-2を採用。
殊(こと)のほかこれが大当たりする。コンテはビアンコネーリ在任中、このシステムで国内の獲れるタイトルのすべてを獲得してみせた。
ユベントス・スタジアム(現アリアンツ・スタジアム)の存在も相まって、2011/12シーズンに獲得したスクデットを現在まで守りつづけている。
あれから10年の歳月を経たビアンコネーリは、復活のキーマンだったピルロがチームを率い、現地時間20日にスーペルコッパ・イタリアーナのタイトルを懸けてナポリと対戦する。
勝利すれば、監督として初のタイトル獲得なのは記すまでもないだろう。
話は戻るが、気の早い方々は今シーズンのカンピオナートにおいて、「ユベントスのスクデットは絶望的」とまで主張する。
果たして、それは当てはまるのだろうか。