コラム:「サッリ・ユベントス」が臨むCL決勝トーナメント
著者:J-JOURNAL 編集部 山口 努
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と公言した監督がいる。
先日、この世を去った野村克也氏が東北楽天ゴールデンイーグルスを率いていたとき、試合後、記者たちに残した言葉と記憶している。
日本プロ野球界の巨星の死に直面したとき、前途の名言を思い出すとともに昨シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)ベスト8・アヤックス戦を思い出した。
ユベントスはCLベスト16でアトレティコ・マドリードを相手に歴史に残る大逆転を演じた。1stレグを0-2で落としたものの、2ndレグでは3-0の大逆転。
良い意味でも悪い意味でも、波に乗らないチームは皆無だろう。
その後の抽選会で引き当てたのがアヤックスだった。どこか楽観的な雰囲気があったことは否定できない。恥ずかしながら筆者自身もその傾向にあった。
アウェイで迎えた1stレグでは1-1のドロー。押し込まれはしたものの、WGドウグラス・コスタのシュートがポストを叩かなければ…と覚えているユベンティーニも少なくないはずだ。
ホームで迎えた2ndレグでは攻守の柱、FWマリオ・マンジュキッチ、DFジョルジョ・キエッリーニを欠いたとはいえ「完敗」と記しても間違いではないはずだ。
FWクリスティアーノ・ロナウドを獲得し、ビッグイヤー奪還を掲げた昨シーズンのCLはベスト8で夢破れた。
今シーズンのCLベスト16を前に感じるのはアヤックス戦の戦前と似た、どこか楽観的な雰囲気を感じなくもない。
だが、「昨シーズンのチームほどの完成度はあるか?」と問われれば、返答に窮(きゅう)する。
戦績だけをみれば、マッシミリアーノ・アッレグリやアントニオ・コンテと、そこまでの差はない。
「メンバーを固定する」と揶揄されたサッリはユベントスを率いると先発を固定せず、毎試合テストするように流動的な陣容をみせている。