コラム:去りゆくユベントスの「魂」
2019/12/26
誰でも愛するチームの背番号には愛着があるだろう。
ファンの一方的な愛情だが、レジェンドたちが背負ったその番号に「ふさわしいか」などと値踏みした記憶は、誰でもお持ちではないだろうか。
ユベントスを2002/03シーズン以来となるUEFAチャンピオンズリーグ(CL)ファイナリストに導いたFWカルロス・テベスが2015年夏にチームを去ったときには、誰もが危機感を覚えたはずだ。
かのルチアーノ・モッジは「テベスが去るのなら、FWエディソン・カバーニを獲れ」とメディアに盛んに訴えた。
だが、クラブが選んだのは、アトレティコ・マドリードでディエゴ・シメオネと不仲説があったFWマリオ・マンジュキッチだった。
背番号はクロアチア代表でも付けている「17」。個人的に受け入れ難かった記憶が濃厚にある。
ダビド・トレゼゲ以降、その番号を背負って輝いた選手はいなかった。そう断言しても当たりさわりはないと感じている。
「監督のやり方を気に入れば、素晴らしい才能を発揮するが、気に入らなければ露骨に態度に出し、チームを去る」
勝手ながら筆者はマンジュキッチに、そのような印象を抱いていた。
だが、マッシミリアーノ・アッレグリの下で自身の“新境地”を築く活躍をみせたのは誰もが認めるところだろう。
FWでありながら、最終ラインまで戻る献身性。その能力に目をつけたアッレグリがマンジュキッチにLMF(左サイドハーフ)のポジションを与えた。
ビアンコネーリのシャツを泥で汚し、ゴールを決めればクルヴァへと走りユベンティーニと喜びを分かち合う。
そんな姿から、筆者はマンジュキッチの記事を書くとき、彼を「魂」と形容させてもらった。