コラム:ユベントスの監督という重圧
著者:J-JOURNAL 編集部 山口 努
ビアンコネーリを率いる監督は、いつの時代も“針のむしろ”のなかでチームを率いてきたはずだ。
突如として現れ、ユベントスを見事なまでに復活させたクラブOBのアントニオ・コンテ氏でさえ、例外ではなかった。
UEFAチャンピオンズリーグ、またはヨーロッパリーグで敗れると「解任論」が浮上したことを覚えているユベンティーニも多いはずだ。
クラブにふたつ目のビッグイヤーをもたらした、マルチェロ・リッピ氏でさえ同様だったことを記憶しているオールドファンも多いことだろう。
マッシミリアーノ・アッレグリ監督に至っては、近年“つね”に雑音に苛まれている状況だろう。
黄金期を謳歌(おうか)した第一政権下でも、アッレグリ監督には解任論があった。
そのとき、盛んに名前が浮上したのが当時ラツィオを率いていたシモーネ・インザーギ監督だったことは記憶に新しいはずだ。
当時、識者や世界各国にいるユベンティーニの“声”は、「力不足」または、「欧州では戦えないのではないか?」という経験不足から“非難”していた。
しかし、インザーギ監督が2021年からインテルを率いるとクラブは現在、絶頂期にある。
ジョゼ・モウリーニョ氏のような“トレブル”とはいかなくとも、今シーズンはスクデット候補最右翼にある。
昨シーズンはチャンピオンズリーグのファイナリストになり、国内ではコッパ・イタリアを獲得している。
このチームをほぼ「0」から、作り上げたのはジュゼッペ・マロッタCEO(最高経営責任者)なのが、ユベントスにとってなによりの“皮肉”だろう。
現地時間2月4日、デルビー・ディターリアに敗れるとアッレグリ監督はネラッズーリ(インテルの愛称)について以下のように話している。
「インテルは今シーズン作られたチームではなく、ずっと昔からチーム作りをされたチームだ」
「それは(アントニオ・)コンテから始まった旅であり、シモーネ(・インザーギ)に引き継がれ、ふたたび強化されたチームだ」
「我々と差があるのは、普通のことだよ。それでも我々ユベントスは、2位にいる」と総括した。
ヴェッキア・シニョーラ(ユベントスの愛称)が、新たな戦略に着手し始めた2018年の夏。
その年の10月、マロッタCEOはビアンコネーリを去っている。
イギリスメディア『DAZN』は今年2月7日、ネラッズーリのCEOにマイクを向け、さまざまなテーマをぶつけている。
マロッタCEOは、「クリスティアーノ・ロナウドの獲得は、財政的にリスクが高すぎるものだった」