コラム:アッレグリ監督が2シーズン求めつづけ、“開花”の兆しを感じるユベントス
著者:J-JOURNAL 編集部 山口 努
今月初旬、宮島を訪れた。
広島市内のホテルに宿泊し、厳島神社へ向かう際、市内を走る市電の停車場では円安などの影響か、外国人客が多く目についた。
市電の車内では、さまざまな言語が飛び交っていたが、電車が走るに連れポツポツと乗客が下車していく。
終着駅の横川駅まで着くと全員が降りていき、山陽本線の改札の前では携帯を眺めがら、各々の目的地までの経路を確認していた。
同じ停車場で市電に乗った外国人の若い夫婦が大声で揉めており、不思議と親近感を覚える言語で話していた。
イタリア語である。
もれなくこの夫婦も厳島神社を目指しており、自分たちの持っている電車の切符で目的地までいけるのか、議論しているようだった。
しばらくイタリアを訪れていないため、忘れかけているイタリア語で話しかけるとなんとも嬉しそうな笑顔で応えてくれた。
駅員に確認を取ると、夫婦の持っていた切符は往復できるものらしく、その旨を伝えると喜んでいた。
「どこにいくの?」と尋ねられたので「厳島神社に…」と伝えると、“渡りに舟”のような表情で「一緒にいこう」と“誘って”くれた。
このあたりの“感覚”も、ずいぶんとなつかしく感じた。
電車に向かい合わせで座ると、婦人の爪に日本の漫画のキャラクターたちのネイルが施されており、熱狂的なファンのようだった。
「大好きなの」と嬉しそうにネイルアートをみせていたので、私が「旦那さんも好きなの?」と聞くと婦人は「この人はカルチョよ」とあまり好意的ではない口調で教えてくれた。
ここで好きなチームを聞くのは、なかなか勇気がいる。
分かりきったことだが、ユベントスはイタリアで最も愛されているクラブだが、同時にもっとも嫌われているクラブだからだ。
「ユベンティーノ?」と訊くと、満面の笑みをみせ「Si!」と答えたから、車内の会話はビアンコネーリ一色になった。
どうやら旦那さんは、マッシミリアーノ・アッレグリ監督の“激しい”「否定派」のようだった。