コラム:カンプ・ノウの空の下で学んだもの
持っていた自信も、昨シーズンの残した結果ゆえに抱いた過信も、完膚なきまでにバルセロナに打ち砕いて“頂いた”のではないだろうか。ユベントスは負けた。それも完敗といっても差し支えはないだろう。
前半は良かった。ボクシングで例えるなら、ユベントスの攻撃はボディブローのように効き、バルセロナの足元をぐらつかせることには成功した。しかしダウンは奪えなかった。
千載一遇の好機はあった。だが、それを生かせなかった。前半後半の前後5分間の、いわゆる“魔の時間帯”でバルセロナに先制点を許してしまったのは痛恨の極みといっても過言ではない。
バルセロナは前半45分を1-0で終え、後半は完璧に立ち直り、かつユベントスの弱点を見抜いたのだろう。その盲点を必要なまでに攻め立てた。たとえばユベントスの左サイドのCBとSBのギャップをFWリオネル・メッシは見逃してはくれなかった。
連携面で極端に悪くはなかった。しかし、バルセロナが誇るバロンドーラーは、肌感覚でその盲点を感じとったはずだ。そして、後半に奪われた2失点は現状のユベントスの守備の精度を雄弁に物語っている。
DFメディ・ベナティアとSBアレックス・サンドロだけが悪いのではなく、サッカー史上屈指のメッシという存在を、ティフォージを含めたチーム全体がどこか軽視していたのではないだろうか。
Calciomioたしかに5ヶ月前は勝った。それからチームを去った選手がいて、負傷者もいて、サスペンションで欠場の選手がいて、「バルセロナ」というチームと初めて対戦した選手もいた。
加えて舞台は重圧の代名詞でもあるカンプ・ノウである。5ヶ月前もその場所で勝ったわけではない。前回の対戦は守備時には4バックで守り、FWマリオ・マンジュキッチとWGファン・クアドラードがDFラインに加わり、実質6バック2ボランチでバルセロナを封じたことを覚えているティフォージを少なくないはずだ。
過剰なほどに守備意識を高くしなければ、バルセロナには勝てないのではないだろうか。それでも前半は殴り合いをし、互角に戦えた経験は今後に繋がるはずだ。
先制点の場面を振り返ると、一瞬の守備の遅れでメッシに前を向かせ、おそらくFWルイス・スアレスと彼にしかできないタイミングのワンツーでユベントスのゴールをこじ開けられた。
世界のトップオブトップの技術をゴール前で止めることは不可能でも、その場所まで運ばせない守備で守りきれるのは前回の対戦で証明している。そのキーマンたちの負傷離脱はユベントスに許される唯一の慰(なぐさ)めだろう。
欧州の覇権奪還を22年ぶりに目論むならば、この敗戦で脆(もろ)くも崩れるようでは見果てぬ夢のままだ。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)制覇への第一歩で大きく躓(つまず)いたのは不幸中の幸いなのではないだろうか。
バルセロナで負った傷は深くとも、怪我の功名になることを祈りたい。日本時間17日、19:30にキックオフを迎えるサッスオーロ戦でどのような試合で終えられるか。相手への敬意を忘れず、そして、国内での地固めがCLでの飛躍に繋がるはずだ。
著者/Juventus Journal 編集部 山口 努
コメント
遅くなりましたが、ようやく試合を見れました。ほんとに完敗という試合でしたね。
でも、最初から力負けしていたわけではないと思います。
アッレグリは修正する力に長けた監督だと思っています。
まずは、次ホームで試合するまでに、しっかり仕上げて頂きましょう!
とりあえず怪我人たちに早く戻って来てもらうのを、願うのみです。
リターンマッチで叩きましょう!!
ユリさん
ホームできっちり叩きましょう!
山口さん、今回もコラムありがとうございます。
きつい週明けでした。
またかと。
Neymarが抜けて、戦力がダウン、そんな安易なムードがなかったとは言えません。
5月はC.Ronaldoにやられ、今月はMessiにやられました。
世界最高峰の選手に対してのケアは個だけではなく、組織で立ち向かう必要がありますね。
点を取らなければ勝てませんが、CL決勝と今週の試合は、ギリギリのところでどう守るかということを
教えられました。
リターンマッチはしっかりやり返してもらいたいですね!
pipeさん
いつもご拝読ありがとうございます!
今回の敗戦を謙虚に受け止め、さらなるアップグレードを期待しましょう!
怪我やサスペンションは致し方ないですし…。
まだ先は長いです^_^
失点は良いです。バルサ相手に守りきれるとは思っていなかったですし。
問題は失点のあとのリアクションが無かった点です。
後半はユーヴェ自身が普段セリエAで相手にしているプロビンチャに見えました。
怪我人が多いのもあるけど、戦い抜いぬける選手がいない。
それだけがとても残念です。
ヨシさん
おっしゃる通りです。
魂を感じさせるプレーを期待しましょう!