コラム:ユベントスの特殊な背番号
昨シーズン、ユベントスの移籍候補にセリエA・パレルモに所属するパウロ・ディバラの名前が挙がると、喜んだユベンティーノは決して多くなかったはずだ。
欧州のビッグクラブがこの21歳の若い才能を見過ごすはずがなく、多額の移籍金でディバラ獲得に本腰を入れていた。移籍金が50億円、60億円と跳ね上がり続ける“噂”は、手堅い補強でしられるユベントスにとって手が出せない金額になっていた。
また、プロビンチャ出身FWがユベントスで成功した例は極端に少ない。FWアレッサンドロ・デル・ピエロの後継者とも目され、ユベントスのプリマヴェーラ(下部組織)で育ったFWセバスティアン・ジョヴィンコでさえ、ローンで移籍していたパルマ在籍時(2011/2012)にみせたシーズン15得点といった活躍を安定してみせることは出来なかった。
そのジョビンコは、2015年1月にメジャーリーグサッカー(MLS)のトロントFCに移籍。すると、リーグ得点王と最優秀ニューカマー賞を受賞するなど、選手としての能力の高さを示している。
それだけビアンコネーロのユニフォームとは重圧が伴い、その中で活躍した者だけにしか「世界的な名声」が許されないことは歴史が示している。プロビンチャ出身FWの補強で失敗した選手は数多いるが、成功した選手はFWフィリッポ・インザーギくらいしか思い浮かばないのが実情だろう。
昨季のセリエA・第27節、長期離脱していたDFアンドレア・バルザーリが復帰したアウェイのパレルモ戦は、FWアルバロ・モラタの一発で0−1で勝利したもののディバラの存在は際立っていた。
掴みどころのないポジショニングでイタリア代表の3人のDFたちを困惑させ、タッチライン際で見事なターンでバルザーリを置き去りにしたシーンを覚えているユベンティーノは少なくないはずだ。
翌週のミッドウィークにはUCL(欧州チャンピオンズリーグ)でドルトムントを0−3で破り、ユベントスの誇る3バックはその後も大きく崩れることなく決勝戦まで勝ち進む。
決勝戦直前、ディバラの移籍は正式に決定する。
移籍金は約45億円。ディバラは、ユベントスにとってGKジャンルイジ・ブッフォン、DFリリアン・テュラム、MFパベル・ネドベドに次ぐ歴代4位の高額移籍金を支払われた選手となる。移籍を大きく後押ししたのは“同胞”FWカルロス・テベスの存在だったが、昨季をもって先輩FWはチームを退団してしまう。
主力が抜けた今シーズンが始まると、史上初の開幕2連敗を喫するなど16位まで順位を下げる。そんな不安定な状態にあってもディバラは現在までに8得点を記録し、現在チームの7連勝に貢献。首位と勝ち点差3の4位まで上昇し、タイトルレースに加わっている。また、リーグ戦総得点28点をみると、ディバラ獲得のために支払った移籍金を徐々に“安価”なものにしている。
21歳でユベントスに入団したディバラは、背番号21を選択。
この背番号はユベントスにとって特殊な歴史がある。古くはMFジネディーヌ・ジダン、前途のテュラム、そしてMFアンドレア・ピルロといった名選手たちが背負ってきた番号である。
DFズデニェク・グリゲラもテュラムの退団後に背負ったが、コアなユベンティーノならば知る選手でしかない。決して悪い選手ではなかったが、チーム状態さえもっと良ければ、名を馳せた可能性もあった。
果たして現在の背番号21は、将来どちらに属するのか。
22歳になったディバラにチームのすべてを背負わせるのは酷な話だが、入団“1年目”の結果が出る2016年5月を楽しみにしたい。それがセリエA最終節の15日なのか、コッパ・イタリア決勝戦なのか、はたまたUCL決勝戦の28日なのか…。
ビアンコネーロの背番号21に小さくない夢を見てしまうのは、
著者/Juventus Journal 編集部 山口 努
コメント
テベスが抜けてFW陣に少々不安がありましたが、今はディバラを始め、だいぶ安心して見れるようになってきましたね。あとはモラタのゴールが見たいところ
ザザの短時間での得点力は凄いですね
昨日も1G1Aでしたし、どんどん輝きを増してますね。
ピルロのFKの後継者は誰になるのやら。
それと、ザザは移籍させたら絶対ダメです。