コラム:ユベントスに貢献した豪腕代理人との別れ
著者:J-JOURNAL 編集部 山口 努
MFアドリアン・ラビオが、ビアンコネーリにやって来た2019年の夏のことだった。
このフランス人ジョカトーレはパベル・ネドベド副会長たちとともにアリアンツ・スタジアムに併設された『J museum』を訪問している。
その際、ネドベド副会長が獲得したバロンドールをラビオが眺めると、獲得した本人に「これ、本物?」と尋ねた。
元ユベントスの背番号“11”は、「そうだよ」と笑顔をみせ、そのやり取りを記憶されているユベンティーニも多いのではないだろうか。
DFメリフ・デミラルも同様の質問をしている。
筆者は、バロンドールが“レプリカ”ではなく、“本物”を自宅や実家などに飾らず、『J museum』に寄贈したことに驚いた。
それが、「ユベントスで獲得したバロンドールだから」なのかどうかは、分からない。
だが2013年、その一端を感じさせるインタビューがイタリア紙『TUTTO SPORT』の記者グイド・ヴァチャゴ氏によっておこなわれている。
ネドベド副会長はバロンドールを受け取った際、「明日はいつもどおり練習します。僕はスーパーな選手ではないから」とスピーチしたのは有名な話だ。
そして2009年、現役を退き、ユベントスの「運営アドバイザー」として過ごしていた2013年。
当時をふり返り「『バロンドールに満足してネドベドのパフォーマンスが落ちた』なんて思われたくなかったよ」
「あの“言葉”は謙遜でも何でもなく、僕は本当に『普通の選手』だと思っていたからね」
「チームメートや監督に恵まれたおかげで、僕のような普通の選手でも成功を収めることができたんだ」
「僕は今まで、一度だって自分をジネディーヌ・ジダンやルイス・フィーゴと同列に置いたことはないんだ」
「なぜなら、僕は実際に彼らと対戦して、その凄さを肌身で理解しているからね」
「『史上最高の選手は誰か?』と聞かれれば、僕は迷わずジダンと答えるよ」
「そう考えると、僕の心に浮かぶのはチームへの感謝しかない」と2002/2003シーズンのバロンドーラーは語っている。
ネドベド副会長の仕事はクラブ役員時代から、フロントと現場を繋ぐ“潤滑油”のような存在だと筆者は認識している。
その仕事は、表には出にくい性質のものだろう。
当然、非難もあり、「何をやっているの?」という疑問もある。
それでも、他チームのファンからネドベド副会長をみた場合、印象は大きく異なる。
筆者にとって、印象に残っている言葉がある。
「J-JOURNAL 6周年企画」の際、粕谷秀樹さんをお招きした際のことだ。
粕谷さんがマンチェスター・ユナイテッドの熱烈なファンであることに、説明はいらないだろう。
同氏は「ユベントスは良いですよ。
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