コラム:ユベントスが迎え、乗り越えるべき世代交代
著者:J-JOURNAL 編集部 山口 努
ダービーマッチは同じリーグに属し、ひとつの街にふたつのフットボールクラブがあれば、世界のどの場所でもおこなわれている。
トリノで産声をあげたビアンコネーロにはデルビー・デッラ・モーレがあり、トーロ(トリノの愛称)とのダービーマッチがある。
大きくいえばトリノの威信をかけた戦いであり、どの街でも、両チームの順位に関係なく「負けられない戦い」と銘打たれ、ファンはダービーの日を待ちわびる。
トリノに居を構える『TUTTO SPORT』の紙面はデルビーまで両ティフォージたちを“煽(あお)り”つづけていた。
『TUTTO SPORT』と同じくトリノに居を構える『LA STAMPA』は18日、ひとつの時代の終止符を訴えた。
同紙はアリアンツ・スタジアムでのデルビーを前にDFジョルジョ・キエッリーニとDFレオナルド・ボヌッチの不在を報じた。
長年チームを支えた両名の不在を焦りではなく、悲しみをにじませつつ伝えていた。
同紙は「2010年から2022年までの12年間で両者が揃って不在になることはなかった」とし、「世代交代のときが迫っている」と報じた。
ビアンコネーロで苦楽を共にしたキエッリーニとボヌッチは、2021年には母国イタリアを欧州王者に導く原動力となった。
好不調の波こそあっても、怪我で離脱することが少なかったチームの背番号「19」だが、今シーズンに入ると顕著にベンチにすら入らない日を増やしている。
数字のみでみれば、キエッリーニは今シーズン16試合、ボヌッチは23試合。カピターノは“やや”不在になることを少なくしている印象だ。
世代交代はどのチームにもいつか来るものだが、この両選手の場合に限っては、いささか長すぎたのかもしれない。
チームはこれまで才能あふれる若いDFを数人獲得してきたが、キエッリーニとボヌッチは年齢を重ねても能力が著しく低下することはなかった。
そのため、DFクリスティアン・ロメロ、DFメリフ・デミラルは「出場機会を求め移籍を選んだ」という見方が強い。
実際このイタリア代表コンビが昨年、母国を53年ぶりに欧州王者へ導いたことを考慮すると、その実力に疑いの余地はないだろう。