コラム:ユベントスのリーダーとしての自覚
著者/J-JOURNAL 編集部 座間 遼祐
暗く長いトンネルにもようやく光が見えてきた。
昨今の新型コロナウイルスの影響により、3月初旬から各国のリーグ戦の中断が決定。シーズン半ばにして、カルチョが私たちの“日常”から姿を消した。
しかし先日、イタリアのスポーツ大臣、ヴィンチェンツォ・スパダフォーラ氏はカンピオナートの再開が6月20日に決定したことを正式に発表。
また、コッパ・イタリアの準決勝が13日に行われることも併せて公表している。つまり、カルチョファンにとって実に3ヶ月ぶりに“日常”が戻ってくることになる。
この中断期間中、ユベントスについて色々考える機会があった。筆者がまず浮かんだのは「今シーズンのこれまでの戦いにおけるMVPは誰か」ということ。
齢35にして得点を量産しつづけるFWクリスティアーノ・ロナウド、強烈な個の集団において、ひときわ強い輝きを放つFWパウロ・ディバラ。
マウリツィオ・サッリのもとで急成長を遂げるMFロドリゴ・ベンタンクールなどなど…候補者は多数いる。
だが、そんな中でも特に強い印象を受けたのはDFレオナルド・ボヌッチだ。
指揮官交代によるチームの方向性の転換、守備の要であり主将であるDFジョルジョ・キエッリーニの長期離脱。
スクデット8連覇中の王者が崩壊し得るだけの要素はいくつかあった。
だがそんな状況の中、キエッリーニからアームバンドを託されたこのイタリア代表DFはチームの手綱を引き締め、ビアンコネーリを土台から支えた。
DFマタイス・デ・リフトやDFメリフ・デミラルら新加入の若手選手と“慣れない”コンビを組んでもなお、ユベントスが首位を走りつづけることができているのは、この背番号「19」の影響によるところが少なくないだろう。
特に前者はセリエA第9節レッチェ戦で、勝ち点「2」を落とす要因となったハンドを犯してしまい、周囲からの批判も強まっていた時期があった。
そんな若者を気遣い「あのPKはマタイスの失敗ではない。誰にでも起こり得る場面だ」
「決して彼のハンドだけが原因ではないよ」と言葉を並べるボヌッチの姿はまさにカピターノと呼ぶに相応しいものだった。
また、今季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ初戦のアトレティコ・マドリー戦も、ボヌッチのメンタル面の成長を語る上では欠かせない。