コラム:ユベントスに帰還したポグバと2022/23シーズン
著者:J-JOURNAL 編集部 山口 努
この写真がイタリア紙『TUTTO SPORT』など主要各紙に掲載されたとき、世界中のユベンティーニの多くは驚き、そして歓喜したのではないか。
同紙は「王の帰還」と銘打ち、そして、FWクリスティアーノ・ロナウドの加入を凌ぐティフォージが「J|medical」の前に詰めかけたことを強調した。
これまで、メルカートが近づくたびに「ポール・ポグバの帰還」はささやかれてきた。
ユベントスの“プリンピチーノ(小さな王子の意)”の名で愛されたクラウディオ・マルキージオも、自身のSNSで“トリノに戻ってこい”と促したこともある。
すでに現役を退いたメディ・ベナティアは今月5日付けのイタリア紙『La Gazzetta dello Sport』のインタビューで、次のように明かした。
元ビアンコネーリの背番号「4」は「2018年のCL(UEFAチャンピオンズリーグ)・グループステージでマンチェスター・ユナイテッドと対戦したときのことだ」
「試合後、ポグバは私に『僕はユベントスが大好きなんだ。可能ならば、すぐにでも戻りたい』と話していたよ」と明かしている。
goalballsそして、ポグバは昨夏のメルカートでついにビアンコネーリへの帰還を果たした。
この夏に獲得したWGアンヘル・ディ・マリアとともに撮られた写真は、2022/23シーズンに大きな期待を感じさせた。
今シーズン開幕前の2022年7月、プレシーズンマッチがアメリカで開催され、ツアー初戦のクルブ・デポルティーボ・グアダラハラ戦にポグバは先発出場。
ボールを受けると2021/22シーズンには“あまり”みることができなかった、ペナルティエリア外から強烈なミドルシュートを枠に飛ばしている。
ゴールキーパーによって、セーブされたものの攻撃のバリエーションを増やすうえで、期待をふくらませるには十分すぎる一撃だった。
この試合で45分のみ出場したフランス代表MFだったが、アメリカツアー2戦目となるバルセロナ戦に向けたトレーニング中に悲劇が起こる。
右ひざに違和感を訴え、結局この怪我が今日までの“悲劇”の元凶となっている。
直後に手術に踏み切れば、2022年にカタールで開催されたワールドカップにも間に合ったかもしれない。
しかし、決断をしたのはポグバ自身であり、フォローできるものではないだろう。
ワールドカップが終わり、2023年を迎えてもメンバーに招集されない日々がつづいたものの、ついにピッチに立つ日を迎える。
ホームで迎えたデルビー・デッラ・モーレの69分、ビアンコネーリの背番号「10」はスタンドに詰めかけたユベンティーニに大歓声で迎えられた。
投入から2分後にDFブレーメルの逆転ゴールが決まったものの、ピッチに立ったポグバは独特のドリブル、ボールタッチを披露した。
奇抜なアイデアこそこの試合ではみられなかったが、類まれなキープ力を発揮するシーンは健在だった。
つづくローマ戦では1点ビハインドの77分からピッチに投入されるが、追いつくことができず終了している。
tuttosportそれでもスタディオ・オリンピコ・ディ・ローマのピッチは、ポグバの「試合勘」を取り戻すには十分だったはずだ。
UEFAヨーロッパリーグ・ベスト16フライブルクとの1stレグが近づくと、フランス代表MFの先発を主張するメディアもあった。
しかし、アリアンツ・スタジアムのピッチにユベントスの背番号「10」の姿はなかった。