コラム:アッレグリ監督が創り上げようとしている「ユベントス」
著者:J-JOURNAL 編集部 山口 努
カタールでのワールドカップは、暗いニュースの多かった日本に小さくない歓喜をもたらしている。
決して評価の高くなかった森保一監督は、ドイツ代表に2-1で逆転勝利を収めると一夜にして「名将」と呼ぶメディアも現れた。
「勝てば官軍負ければ賊軍」。
誰しもが聞いたことのあるこの漢詩は、ことスポーツの世界において窮地に立たされた人物に名誉を与える。
日本の幕末に生まれた「言葉」は、遠いイタリア・トリノの地でも当てはまるだろう。
現在ビアンコネーリを率いる、マッシミリアーノ・アッレグリ監督もその資格を与えられるはずだ。
昨シーズンより、大きくなった「解任」の声は今シーズン、さらにそのボリュームを上げた。
実際、かつての勝負強さは見る影もなく、ピッチに立つ選手たちは「やるべきこと」を探しているシーンが目立った。
もしくは、手探り状態。「分からない」ままピッチに立たされているように感じたユベンティーニも少数派ではないだろう。
するとアントニオ・カッサーノ氏が、かつての“恩師”に罵声を浴びせた。
今年7月に40歳になった“悪童”は「アッレグリはユベントスを去らなければならないよ」
「なぜなら、彼は無能だからね」
「以前はどうして勝てていたか? 簡単さ。当時のチームには50人ものカンピオーネがチームにいたからだよ」
「クラブのフロントはアッレグリに新戦力を与えるが、彼はチームになにかをもたらすことはない」
「彼はすぐにでもクラブを出ていくべきだが、金を諦めることはないだろうね」と辛辣(しんらつ)すぎるコメントをメディアに話している。
すでに“悪堂”という歳ではないが、いささか大人げない指摘をすることから、現役を退いた現在でもメディアの注目を集めている。
では、10月中旬から始まった無失点での6連勝を成し遂げる以前のチームは、なにが欠けていたのだろうか。